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院長コラム

心の声を聴く

2021年2月15日

心の声を聴く

第11号:2020年6月号

 

これまで想像できなかった事態やその変化に、ストレスと感じているのはもちろん子どもも同じです。なかには、この状況を楽しんでいるお子さんもいますが、長くなってくると心因性の頻尿、心因性咳、腹痛や頭痛といった不定愁訴、手洗いがやめられない強迫神経症一歩手前のお子さんが増えています。

 

当院でも、明らかに感染性ではないのに嘔吐を繰り返すお子さん、頭痛を訴えるお子さん、手を必要以上に洗わないと気が済まないお子さんの受診がこのところ見受けられます。そんな時、親御さんの受け止め方はそれぞれです。こんな状況であればストレスに感じて当然、症状とうまく付き合いながら、乗り越えようとする方、何の病気ですか?と原因を追究して、怖い病気が隠れているのではないかと不安がる方、そのためあちこちのクリニックや病院を転々としてしまう。

子どもは親の気持ちにとても敏感です。親御さんが必要以上に恐怖や不安にかられてはいませんか?その気持ちがお子さんにも伝染してしまうことを少しだけ考えてみてはいかがでしょうか?私はよく「正しく適度に怖がる」とお話ししています。“過ぎたるは及ばざるがごとし”マスコミの半ば不安をあおるような情報に一喜一憂せず、こんな時だから親御さんが毅然とした態度で、お子さんの今の気持ちや声にだせない心に向き合ってみてはどうでしょうか。

 

普段仕事が忙しい小学生のお母さんは、“こんなに毎日一緒にいるのは赤ちゃん以来のこと”と少しこの状況を楽しんでいました。ゆっくりお子さんと話す中で、こんなことを考えていたの?と子どもの成長に新たな発見があったそうです。心の通った笑顔と会話。

今こそお子さんの心の声にゆっくりと耳を傾けてみませんか。

 

 

情報の大切さ

2021年2月15日

情報の大切さ

第10号:2020年5月号

 

自分の辛さや苦しさを言葉で表現できない乳幼児にとって、親御さんからの情報はまさに頼みの綱です。いつから症状が始まって、どのように変化したのか、だんだんひどくなっているか、食欲や活気はいつもと比べてどうか、熱の経過は、集団生活をしているか、その園ではどんな感染症が流行しているか、兄弟はいるか、ワクチンはきちんと接種しているか、これまでどんな病気にかかり治療してきたか。

当院で母子手帳やお薬手帳を必ずご持参いただくのは、その中にも必要な情報がたくさんつまっているからです。出生時の状況や乳児期の発達、ワクチン接種歴など、また当院を受診される前に他院でどんな治療をしたかなど、どれもこれも大切です。

 

受診されて、すぐに診断がつくことは意外に少ないものです。病院に来ればすぐに診断がついて、治す薬をもらえると考えている親御さんは意外に多くいらっしゃいます。しかし、われわれが診ているのはお子さんの全身状態(体温・心拍数・呼吸数・喉や耳、胸やお腹の診察)から客観的に判断して、今の状態は緊急性を要するような状態かどうか、いわゆるトリアージしているのです。その上で、必要であれば検査を行い、今日の診たて(現在考えられる病状)を説明し、自宅での療養ポイントや、状況が変化した際は早めに受診してもらいたい旨をお伝えしています。

そう考えると、われわれと親御さんはお子様の体調をお互いに見守っていくパートナーなのです。信頼関係が必要です。病院に連れてきて終わりではなく、病院にくる前の状況、きて診察を受けた時、その後とお子さんの病状は刻々と変化していきます。良くなる場合、横ばい、残念ながら悪化していく場合もあります。

日頃からお子さんの様子をよく観察していただき、受診の際にはどうぞ必要な情報を的確にお聞かせください。その情報こそが、お子さんが元気になっていくために必要な治療に直結するのですから。

苦しい時こそ冷静な対応を!

2021年2月15日

苦しい時こそ冷静な対応を!

第9号:2020年4月号

 

乳児に当たり前のように接種していたBCGが急に足りなくなりました。開院してからも、その前もこんなことは初めてです。少し前は喘息治療薬のオルベスコ(吸入ステロイド薬)が品薄になりました。喘息の定期通院の方が多いわがクリニックでは、これまた日常的によく処方する大切な薬です。一体何がおきたのでしょうか?

一部報道により、新型コロナウイルスで入院中の患者さんにオルベスコを投与したら、呼吸状態が改善した。BCGを接種している地域は、重症になる人が少ないといったことから、いわゆる普段使用しないところからの発注が増えたと考えられます。

これはいわゆる、買い占めと同じ原理です。供給はいつも通りで本来なら不足するはずがないのに、突然行き届かなくなる。乳児は公費でBCGを接種できる権利があります。喘息児も治療できなければ、発作に見舞われます。まさに本末転倒ではないでしょうか。BCGを接種できなくなる乳児のリスクなどおかまいなしなのです。

ピンチのときこそ、人間の真価が問われます。不安をあおるような情報をうのみにして、買い占めをはじめとする自分さえよければ的な行動。または、自分は大丈夫と根拠のない自信と不適切な行動で、結果的に周囲を傷つけてしまう。こういう時こそ、自ら正しい情報をとりにいく。とり方がわからなければ、信頼できる人が発信しているものを追いかけ、正しい知識を得ていく。漠然とした不安は、さらなる不安を助長し、怒りの感情は増大していきます。子どもの命も自分の命も守るために今何をすべきか?

 

ひとりひとりが冷静に考え行動してこそ、先の見えないこの状況を打開する一歩につながるのではないでしょうか。こんな時だから、子どもの隣に座って一緒にお勉強、並んでお料理、ゆっくりお風呂、ストレッチ、楽しい会話。苦しい状況だからこそ、努めて気持ちを穏やかにしたいものですね。

 

 

母になるなら流山市?

2021年2月15日

母になるなら流山市?

第8号:2020年3月号

 

流山市のホームページのトップには「母になるなら流山市」と大々的に掲げられています。2005年のつくばエクスプレス開通から沿線の開発が進み、市は子育て世代を広く誘致してきました。現在人口は19万5千人を超え、うち年少人口(0~14歳の人口)も2万9千人以上です。人口が20万を超える日も、そう遠くはないでしょう。保育園が乱立し、結果的に小学校はパンクして、新設小学校の建設が進んでいますが、学区のことなど様々な問題があるようです。

 

医療に携わる者として、やはり小児医療環境の充実を、強く訴えたいと思うこの頃です。健康に生まれても、病気にならない子はいません。また障害を持って生まれた子、生まれてから喘息や食物アレルギーを発症する子、育っていく中で発達障害の兆候がはっきりしてくる子。安心して子育てをするためには、お子様たちの健康のサポートがあってこそではないでしょうか。

 

予期せぬ子どもの急病や継続的な診療が必要な病気、療育や福祉的な介入が必要なお子さん。そういったお子様たちや親御さんが、安心して暮らせる流山市になっているのでしょうか?正直疑問ばかりが沸き上がります。食物アレルギーをもったお子さんの園や学校での対応の混乱、夜間小児救急の問題(現在市内で、夜間いつでも小児科医の診察を受けられる体制にはなっていない)、発達障害を持ったお子さんの受け入れ施設の不足、民間の学童や療育がどんどん参入して、正直営利的な要素が強くなっているように見受けられます。

 

母になるなら流山と自慢できるような市にするためには、行政・医療機関・教育機関・市長や市議さん・一般市民・子どもに関わる全ての人達でもっともっと子どもの医療環境充実に向けて、広く議論していく必要があるのではないでしょうか?

 

流山に今一体何が必要ですか?

リスクは平等

2021年2月15日

リスクは平等

第7号:2020年2月号

 

「どうせ打ってもかかるから」「家族でやるとお金がかかるから」毎年巷の声が聞こえてきます。打ってもかかる=打たなくてもよいという極めて短絡的な発想としか言わざる🙊を得ません。打ってもかかる=それくらい感染力が強い=まともにかかったら重症になる=時に命を落とすこともある。これが、われわれ医療者の発想であり、命を落とさないまでも肺炎で入院する子、重い後遺症を残してしまう子をみてきているからこういう考えになります。
診察室に入って来る様子で、ワクチンを打っていないインフルエンザの子はすぐにわかります。大きな子でも立ち上がれないくらいぐったり。これが続いたら体力を消耗してしまいます。抗ウイルス薬は種類が増えましたが、早く飲んだからといって、肺炎や脳症等の重い合併症にならないということはありません。何よりワクチンを接種することで、重症化を防ぐしかないのです。にもかかわらず、毎年打たない人がほとんど。日本人の接種率は25%と4人に1人です。かかる・かからないが問題ではなく、仮にかかってしまっても重症化しないように備えておく。
またお子さんがかかって、働くお母さんが1週間仕事を休む、兄弟やお父さんにもうつって学校や仕事を休む、時に入院なんてことも。その損失と家族の負担を考えたら、3500円×家族人数のワクチンは、はたして高いでしょうか?

自分の子どもだけは、我が家だけは大丈夫なんてことはありません!リスクはみな平等です。過剰に心配する必要はありませんが、信頼できる情報の元、できることすべきことをやっておく。それこそが親として子どもに注げる愛情のひとつではないでしょうか。「子どもが嫌がるので」「予約がとれなくて」というよくある言い訳。それを聞いていつも思うのは、親御さん自身も必要と思っていないからやらないだけと。子どもが嫌がるから、我が家では勉強させませんという家庭はありますか?嫌がるからやらないは、役割を果たせないことの隠れ蓑。できない言い訳はそろそろ卒業しましょう、リスクはみな平等ですから。

 

価値観のバージョンアップ!

2021年2月15日

価値観のバージョンアップ!

第6号:2020年1月号

 

新しい年を迎え、時代は平成から令和へと移り変わるものの、古い慣習や価値観にとらわれ、なかなか変われない組織が世の中には少なくありません。医療界もまた例外ではなく、私など未だに生意気だと言われることもありますが(>_<)めげずに頑張っております。

小学2年生の時、大学を卒業したばかりの新任の女の先生は、忘れ物をすると教室の後ろに児童をたたせ、ひとりひとり鼻ピンやデコピンをしていました。鼻血をだして泣き出す子もいて、もちろん私もされました。風船を忘れた日には、頬に油性ペンで大きく“ふうせん”と書かれました。悔しくて情けなくて、あえて消さないで頬を手で押さえ、放課後学童の先生に見せたことを今でもよく覚えています。今だったら大問題になるでしょうが、昔はまかり通っていました。

 

子育てにおいてもまたしかり。先頃、厚労省が体罰に関する指針案をまとめました。①口で3回注意してもいうことを聞かないので、頬を叩く。②大切なものにいたずらしたので長時間正座させる。③友達を殴ってけがをさせたので、同じように殴る④他人の物を盗んだので、罰として尻を叩く。⑤宿題をしなかったので、夕ご飯を与えない。これらは体罰として指定された具体例です。宿題を忘れたかつお君やのびた君が、廊下で長時間立たされているなんて光景は、漫画の世界ではよくありましたがこのご時世では完全にNGとなります。

 

後を絶たない凄惨な虐待事件、いじめや体罰それに伴う不登校等、問題は山積みです。少子化が叫ばれる中、新時代に子どもたちの健全な心と身体の成長を、大人たちがどのように守り育むか。いまこそ古い価値観にとらわれず、心ある議論をするときではないでしょうか。自分たちの育ってきた古き良き時代の素晴らしい部分は残しつつ、悪しき慣習や偏った考えを捨てて、新たな発想をしていく必要がありそうです。

いつまでもWindows95のままではだめなのです。価値観もまたバージョンアップ!をしていきましょう。

三歳児神話ってほんと?

2021年2月15日

三歳児神話ってほんと?

 

第5号:2019年12月号

 

いわゆる“三歳児神話”子どもが3歳になるまでは、母親は子育てに専念すべきであり、そうしないと成長に悪影響を及ぼすという考え方です。日本では長らく定着し、「就学前の子どもがいる場合、母親は家にいるべき」と考える人の割合が68.7%と世界で第1位です。

 

私は常々この考え方に疑問を呈してきました。というのも、日々の診療や園医として保育園健診に出向いたりするたびに、この神話にはなんの信ぴょう性もないと思うことが多々あるからです。

 

0歳や1歳で登園し始めると、はじめのうちは咳・鼻・熱・下痢・他流行りものと感染症のオンパレードで、中にはまともに働けないと嘆く親御さんもいます。ところが2歳半過ぎたあたりから、熱を出すこともガクンと減り、大半のお子さんは鼻かぜ程度ですむようになります。一方、幼稚園から集団生活を始めたお子さんは、3歳4歳という年齢でこれまた感染症の洗礼に合い、どうしてこんなに熱をだすの?今までは大した病気もしなかったのにとなるわけです。

 

また、社会性はどうでしょうか。早くから親以外の大人や同世代の子どもと接する機会の多い保育園児は、診療に対しても結構協力的です。一方お母さんとべったりの在宅時は、診察する前から泣き叫び、少しでも触ろうものならパニックになる子もいます。食においても、保育園児は今食べなければ後からはでてこないことを日々学んでいるので、多少の好き嫌いがあっても、園にいる間はみんなと一緒に食事を楽しみます。もちろん自宅ではわがままになりますが・・。一方在宅時は、今嫌いなものを食べなくても、愚図れば後から必ず好きなものがでてくるということを知っています。お母さんもそれに負けてしまい、結局与えてしまう。ここから始まる偏食ループ(私はそう呼んでいます)は、後々まで結構苦労することがあります。

 

共働き世帯がこれだけ増えているにも関わらず、お子さんを乳幼児期早期から預けて働くことに、まだまだお母さん自身が罪悪感を持っていたり、専業ママのようにできないことで負い目を感じたりすることはないでしょうか。小さいうちからかわいそうだと親族に指摘されることもあるでしょう。

確かに、お子さんと過ごす時間は少なくなるかもしれません。仕事と育児の狭間で、もがき苦しむこともあるでしょう。それでも、母が働く姿を幼いころから見せることは、お子さんにとってなによりの情操教育になると私は思うのです。成長に悪影響どころか、与えられた環境の中で、子どもはけっこうたくましく育っていくものです。

 

もちろん、3歳過ぎまでお子さんと過ごす時間をしっかり持つことを、否定する気は毛頭ありません。この時期は後から取り戻せるものではありませんし、三つ子の魂百までもという言葉があるように、お子さんにとってはかけがえのない時間ですから。

 

 

時代は流れ、価値観は変わり、従来の古い概念が通用しなくなっていく、その一方で子育てにおいては揺るがない本質もあるはずです。

 

神話にとらわれず、働くママも、専業ママも、お父さんたちも自信をもって、今こそ自分らしい子育てをもっともっと楽しみましょう!!

 

素直さという武器

2021年2月15日

素直さという武器

第4号:2019年11月

 

“素直な子に育ってほしい”我が子にこのような感情を抱く親御さんは多いものですが、昨今素直さが求められているのは大人の方ではないでしょうか。

 

ピアノや水泳、サッカーに野球、公文、ダンス、プログラミングや進学塾等、お子さんたちは何かと習い事に忙しい毎日。同じように通っていてもなかなか上達しない時、習い事であればお教室の先生に、スポーツであれば監督やコーチに、勉強であれば塾の先生に相談し、うまくいかない原因を一緒に考えてもらい、アドバイスを受けるでしょう。その時に我流のやり方を貫いて間違ったフォームのままやり続けるか、このタイミングで変わる時だと思い、教えを素直にうけとめるか、ここに上達のヒントがあるのではないでしょうか。

伸びていく子は柔軟であり、言われたことをすぐに実践します。やってみてダメであれば、またやり方を変えて工夫するでしょう。コーチはこれまで何百・何千という子ども達を指導してきているのですから・・・

 

当院にも、これまでの治療がうまくいかなかったとご相談にいらっしゃる方がいます。こちらの診たてと、治療内容や今後の見通しも、できるだけ丁寧にお話しするように心がけています。大抵の方は納得されますが、なかにはどうしてもこれまでのやり方に固執して、うまくいかなかったことを嘆き、結局納得していただけない方がいらっしゃいます。正直とても残念なことです。われわれはそれを生業として、年間1万5千人以上のお子さんの診療にあたっています。まずは素直にやってみる、うまくいかなければ話しあって工夫してみる、そういう信頼関係が築ければ、お子さんの状況は見違えるようによくなっていきます。親御さんの自信と笑顔は、お子さんにとってなによりの特効薬ですから。

 

うまくいかないときこそ、過去にとらわれずアドバイス通り素直にやってみる。子ども以上に、今こそ「素直さ」が求められるのは大人自身かもしれません。

トライ&エラー、そしてまたトライ!

 

子供の代弁者

2021年2月15日

こどもの代弁者

第3号:2019年10月

 

キャリアウーマンのお母さんは、新聞片手にとにかく忙しそうでした。Wi-Fiにつなぎ、問診を書きながら、かばんには病児保育書類を忍ばせて・・・。

 

まだ1歳過ぎたばかりのお子さんが、朝吐いたとのことでした。診察した時にはだいぶすっきりしていましたが、お子さんの吐く原因として、胃腸炎の始まりや疲れといった比較的軽いものから、髄膜炎や腸重積、盲腸など重症な病気がかくれていることもあります。吐いた直後の診察ではわかないことも多く、半日~1日観察していく中で、症状がはっきりしてきて診断がつき、追加の治療が必要になります。ですから、吐いた直後に病児保育に預けることは非常にリスクが高く、仕事を調整して看病して欲しい旨を伝えました。

ところが、「あなたに、そんなこと言われたくない。その言い方は親として嫌な気持ちになる」とおしかりを受けてしまいました。きっと診察後にそのまま病児保育へ、そして仕事へと考えていたのでしょう。それが私のひとことで覆され、お怒りとなったのかもしれません。男性と肩を並べてバリバリ働いているのでしょう、こどもの病気で弱みをみせられない、現場に穴をあけられない、大事な商談がある等、状況やお気持ちは想像に難くありません。仕事をしながらの子育ては、それなりの強い覚悟が必要なものです。

けれどわれわれは、親御さんの味方でありサポート役であるとともに、一番は「こどもの代弁者」でありたいと思っています。とくに0歳や1歳の乳幼児は、自分で「痛い」「苦しい」を表現できません。そのつらさに寄り添い、時にそれが親御さんにとって不都合なことでも強く言う、そして言い続けなければいけない時があるのです。

長らく医療現場にいると、大丈夫と思っていたお子さんが急変したりする苦い経験が数々あります。だからこそ、常にお子さんファーストでありたいと。

 

親御さんにとって都合の悪い事、それはお子さんの「つらさの代弁」と理解していただければ幸いです。

 

心の処方箋

2021年2月15日

心の処方箋

第2号:2019年9月

 

先日、小学校2年生の女の子がこんなお話しをしてくれました。“学校で鉄棒から落ちて、顔にけがをしてしまった。保健の先生が、絆創膏をはってくれて、最後に「痛かったね」と言って、ぎゅっと抱きしめてくれた。それがとっても嬉しかった”と。素敵なエピソードですよね。けがをした直後で痛いし、けがをしたショックもあったでしょうが、先生が抱きしめてくれたことで、きっとその子の痛みは半減したことでしょう。

「けがをしないように、気をつけなさい」とか、「もうなんで落ちるかなー」とか、親ならいってしまいそうなところですが、さりげなく子どもの心に寄り添ってくれた保健の先生は、子どもの良いお手本になったと思います。きっとその女の子は、誰かが同じようなけがをしたとき、「痛かったね」「つらかったね」といいながら、そばにいてあげるかもしれません。

子どもは、“親のいう通りにならないが、する通りになる”と言われます。ついつい、日常的に「あいさつしなさい」「お礼をいいなさい」「本を読みなさい」「勉強しなさい」「それをしてはだめ」「なんでそんなことするの?」と否定や禁止、命令語のオンパレードになっていないでしょうか。親御さんが笑顔で挨拶していると、やがて子どももそれを真似て挨拶するものです。そんなタイミングで、目をみて笑いかけて、「上手にご挨拶できたね」といいながら、頭をなでてみてください。子どもはそれが嬉しくて、これからも挨拶することでしょう。親が日常的に本を読み、何かに頑張る姿をみて、子どもも奮起するものです。われわれ大人は、先述の先生のように子どもの良いお手本でありたいものですね。

 

子どもの心に本当に響くもの。それは言葉ではなく、表情や態度、姿勢なのかもしれません。100回同じことを言うよりも、たった1回態度で示したことの方が、よりずっしりと心に刻まれることもあるのではないでしょうか。

 

笑顔で抱きしめる。忙しい日常の中で、そんな余裕を少し持てたらいいですね。

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