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院長コラム

親自身の生き方が問われている

2026年10月8日

親自身の生き方が問われている

第87号:2026年10月号

 流山で小児科医として診療させて頂いて、21年の時が流れました。本当に多くのご家族と出会い、お子さんたちの成長を親御さんと共に喜んできました。乳幼児だったお子さんが、小学生・中学生・高校生・大学生と立派に育っていく姿にいつも励まされました。そしてたどり着いたのは、「親が真っ当に生きていれば、子は真っ当に育つ」ということです。今子育てに悩む全ての親御さんに、そんなに頑張らなくてもなんとかなるから大丈夫と伝えたいです。「真っ当」とは、人や物事が正しく、まじめで、筋が通っている様子を表わす言葉とAIが教えてくれました。私が考える「真っ当」は、まず言葉遣いから。先日某イタリアンファミレス店で「うるさい!静かにしろ!お前帰ったら正座だからな!」昭和のお父さんかと思いきや、令和のお母さんでした(苦笑)お母さん達3人、4-6歳くらいの男児3人と赤ちゃん。確かに子どもたちの声は響いていたけれど、いちばんうるさかったのはお母さんたちの怒鳴る声でした。日常的にこういう言葉を浴びせられる子は、同級生にも同じような言葉を使うでしょう。

マンションですれ違った野球少年は、目が合った瞬間に「こんにちは」ときれいな会釈をしてくれました。その瞬間、私の心にさわやかな風が吹きました。一方挨拶しても完全無視する大人もいます。そんな時は、心に泥水が流れてきます。そういう姿を子どもは見ています。そして時間、予約時間から遅れてきても何も言わない方、連絡なしにキャンセルする方。お子さんに時間や約束は遅れて守らなくても良いとうモラルが自然と植え付けられます。他にも、人を裏切ったり、欺いたり、嫌がることをしたりときりがありませんが、「子どもは、親の言うようには動かない。しかし、親のやる通りには動く。」と昔から言われています。つまり親の背中を見て育つということです。

親である我々も完璧な人間ではなく、悩んだり、もがいたり、落ち込んだり、間違ったり、失敗したりします。そんな姿も含めて、誠実な生き方をしたいものですね。まずは、日常の言葉遣い・挨拶・時間を守るといった小さな習慣の積み重ねが大切。そして、自省(自分の言動や行いの是非善悪を、自分で深く返りみること)することが大切だと思っています。自省がない人は、起こること全て社会や他人のせいにします。そのため信頼ベースの人間関係が構築できません。子どもにガチャガチャ言う前に、親自身の暮らし方・生き方を見直しましょう。

医療におけるSDM

2026年10月8日

医療におけるSDM

第86号:2026年9月号

 「先生にお任せします」そんな時代は終わりました。それでも「よくわからないので、先生どう思いますか?」と質問されることがありました。また、「うちの子は〇〇(病名)ではありません。」と怒って帰る方もいました。SDM(Shared Decision Making)とは、医学的根拠と患者さんの生活背景や価値観などの患者さんにとって大切なことに基づき、医療者と患者さんが協働して、治療方針を決めるプロセス(共同意思決定)です。なぜ、今SDMなのか?「最善の根拠」「医療者の経験」「患者さんの価値観」を合わせてよりよい医療を実現しようとする流れが起こっているからです。

 お薬手帳を拝見した際に、他院で喘息治療薬が処方されているので伺うと、喘息とは言われていない、いつまで続けるかも説明を受けていないということがよくあります。また、その月齢では到底出来ないようなステロイド吸入が処方されていることもあります。私が専門にしているアレルギーの病気(気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、花粉症、食物アレルギー等)は、風邪や胃腸炎のように数日や数週で改善することは難しく、年単位での治療が必要でなかには完治が非常に難しい場合もあります。診断にいたった根拠をご説明し、どのくらいの治療期間が必要かを共有し、治療ゴールを設定する必要があります。納得いかないま治療を始めても、続けることは難しいからです。

 さらに、根拠に基づく治療を後押しするのが「ガイドライン」ですが、その通りに治療すれば全ての患者さんの病気が治るというものでは残念ながらありません。個々に悪化する要因は異なり、生活環境、お子さんの場合は親御さんのケアによるところも大きいからです。それらを考慮して、お一人お一人に向き合うことが医療者には求められていますし、それを目指してスタッフ一同日々診療にあたっています。特に自身で意思決定ができない年齢のお子さんにとっては、医療者と親御さんとの信頼関係に基づく連携が必要不可欠です。

 物事の分別がつけられ自分の身体に向き合える年齢になれば、親御さんの意向ではなく「自分がどうしたいのか、よくなりたいのか、そのためにこの治療を続けるかどうか。」をご本人に直接お聞きしています。どうぞ、SDMを意識して、われわれ医療者と協働していきましょう。

母娘旅第3弾

2026年10月8日

母娘旅第3弾

第85号:2026年8月号

 娘が中学生になってから毎年2人旅をしているのですが、今年で3回目。さてどこにいこうかと悩んでいたところ、たまたま神戸どうぶつ王国で5月に産まれたマヌルネコ(600万年前から生息、ネコ科の動物では最も古い種)の赤ちゃん5匹が、7月から一般公開されることを知りました。2匹の猫たちと暮らす無類の猫好き我が家としては、見に行かないわけにいかないと今年は神戸になりました。午前・午後共に1時間半の公開のため、午後の公開時間に合わせて来園しました。長蛇の列に30分ほど並び、見られたのは数分。それでもしっかり写真に収めてきました。1匹1匹微妙に模様が違って、モフモフしていて愛くるしくて、すっかり魅了されてしまいました。舌をだしながらこちらに近づいてきてくれる子も。他にも、スナネコ・コビトカバ・レッサーパンダ・ハシビロコウ・ペンギン等たくさんの動物たちを愛でることができました。娘が幼い頃はよく行ったものの、久しぶりの動物園。帰りにマヌルネコのポストカードやボールペン、マグネットのお土産を買いホテルへ向かいました。

チェックインを済ませ部屋に上がろうとしたところ、「Help! Help!」

叫びながら男の子を抱えて駆け込んできた外国人の女性。見ると男の子がけいれんしていました。ロビーの隅に寝かせて、ホテルスタッフにバスタオルや保冷剤をもらい、まず気道を確保しました。ブラジルからの観光客で、1歳の息子さんは今朝から発熱していて、イブプロフェンを飲ませたらけいれんを起こしたとのことでした。首と手首の脈を触れながら、呼吸状態と意識をみていたところ、2-3分でけいれんは落ち着きました。ただ大変だったのは、終始母がパニックを起こし、ブラジル語で英語もなかなか伝わりにくく、大丈夫だから落ち着くように話しても、子どもを抱き上げようとするので攻防でした。最後は謎のお祈りを始めてしまって。やっと救急隊が到着し状況を説明したら、「続きは搬送しながら」と言われ、すでに意識は戻っていて私は偶然居合わせた旅人だから救急車に同乗しませんと。何の医療機器もないホテルロビーの隅で、30分くらい救護にあたりました。言語や文化や宗教の違うブラジルからの旅行者、パニック状態の母に大変苦戦しました。ホテルの部屋にたどり着き海を眺めながら娘が、「あのお母さんは本当に大変だったね。お疲れ様でした。」と労ってくれました。

 そして日が落ち神戸の夜景を眺め夕食を食べながら、「忘れられない旅になったね」と笑い合いました。さて、来年はどこへ行こうかな。

同門会に参加して

2026年8月1日

同門会に参加して

第84号:2026年7月号

 大学を卒業して25年以上が経ち、流山に舞い降りて20年以上の時が経ちました。流山の医師会長は、私の大学の大先輩。会長は11期生、私は26期生なので、在学中はもちろんかぶっていません。それでも9年前に開業してからは、「後輩だから」といつも紹介してくださっていました。奨学金をもらっていた関係で、卒業後大学には残らず総合病院で初期研修を開始しました。2004年から初期臨床研修は義務付けられて、医師免許取得後に2年間、内科・外科・救急・小児科・産婦人科などをローテートしながら、幅広い診療能力と医師としての基礎を身につけます。私が卒業した2001年は、同級生の大半は卒業後自分が最初に選んだ科だけでしたが、私は幸いにも内科(消化器内科・呼吸器内科・循環器内科・神経内科)小児科・産婦人科・診療所・老人保健施設等で研修した後に、最終的に小児科を選択しました。

 小児科を選択してもすぐに小児科医になれるわけではなく、2年の初期研修ののち、小児科専門医を取得するのに最低3年半の時間を要します。さらに専門医を取得しても、そこからさらなる研鑽が必要で、サブスペシャルと言って私はアレルギーですが、小児循環器、小児神経等より専門性の高い資格を取得するのに数年かかります。昨今、専門医を取得してすぐや専門医すら持っていない医師の開業が増えたことを個人的には大変危惧しています。

 卒後25年で、先日大学の同門会千葉支部会(現在皆さん千葉で勤務)に初めて参加しました。当日は、2期生から41期生まで総勢19名の会となりました。在学中に同じキャンパスで学んだ先生もいましたが、中でも私が入学した年に4年生で大変お世話になった水泳部の先輩に再会して、昔話に花が咲きました。正直、6年間学んだ大学のアイデンティティーを持てずにこれまできましたが、医師会長が大先輩であったことから今回の会に誘われ参加してみて、改めて自身の出身大学に誇りを持つことができました。そして送られてきた同窓会誌を見ていたら、今年の卒業生の医師国家試験合格率は99%と東京大学と並んで全国6位でした。後輩たちも頑張っていることにも、励まされました。

そして流山医師会長からは、若い先生に負けずにわれわれもまだまだ頑張ろう!とエールをいただきました。やっぱり同門っていいものですね。

正解

2026年7月2日

正解

第83号:2026年6月号

 RADWIMPSが2018年に発表した曲をご存じでしょうか?さびの部分で、「あぁ 答えがある問いばかりを 教わってきたよ そのせいだろうか 僕たちが知りたかったのは いつも正解などまだ銀河にもない」「一番大切な君と 仲直りの仕方 大好きなあの子の 心の振り向かせ方 なに一つ見えない 僕らの未来だから 答えがすでにある 問いなんかに 用などはない」という歌詞があります。答えがある問い=試験勉強や受験勉強、ひとつしかない答えにいち早くたどり着くことが正解であり、求められることです。ところが社会に出ると、正解のないことばかりに遭遇します。何が問題なのか、自ら探り解決する術をみにつけないと、前に進めないこともあります。

 インターネットも携帯すらない時代に子どもだった私は、今と比べて不便ではあったけれど不自由ではなかったと思います。お互いに待ち合わせ場所や時間の記憶があいまいだと会えない、もしくは実家に電話して確認したり、部活の試合で負けて悔しい思いをしたら、メンバー同士でとことんミーティングをしたり、親友と日々の悩みを交換日記で書き連ねたり(ちなみに私が中学生の時の交換日記は、実家でみつけて今我が家にあり娘が時々読んでいます(笑))、わからないことは図書館に行って調べたり、先生に直接聞いたり、たくさん泣いたり笑ったり、傷ついたり悩んだり、良くも悪くも人間臭い血の通った交流がそこにはあったように思います。

その時代と比較して現代をただ批判し、悲観するつもりはありませんが、正直生きにくい時代だと個人的には思います。生成AIは、成熟している人間にとっては強い味方になってくれますが、それでも最終判断はその人自身にゆだねられます。利用する人間の見識が問われますので、相当注意が必要です。判断できる人間になるには、コスパ・タイパではなく、割に合わないことや遠回りすることも大切だと思います。お子さん達には、失敗や挫折を恐れず何事にも果敢に挑戦してもらいたい、それを全力でサポートするのが我々大人の役割ではないでしょうか。自ら考え行動する力、結果に責任を持って歩める力をしっかり養って欲しいものですね。

 自分の選んだ道が正解だとこころから思えるように・・・

人間ドックのススメ

2026年5月21日

人間ドックのススメ

第82号:2026年5月号

 日々、仕事・家事・育児に追われ、ご自身のメンテナンスは後回しになっていませんか。男女とも40歳を境にがんにかかる率が上昇します。大腸がんは日本人のがんにかかる率第1位、死亡数では第2位(女性では第1位)です。大腸がんは、大腸カメラを定期的に行えば、最も予防しやすいがんでもあります。私自身も、40歳を過ぎて初めて大腸カメラを受けました。その時は数ミリの

ポリープ(前癌病変)が数個あり、その場で切除していただきました。その5年後に再度大腸カメラを受けたところ、今度は20㎜の大きなポリープがみつかり、日を改めて入院して切除しました。放置していれば将来的に癌となっていた可能性が高く、またポリープができていた場所は自覚症状がでにくい場所だったため、受けて良かったと心から思っています。その後は、半年・1年と定期的に検査を受けています。

また腹部超音波も、初期では症状がでないもしくは通常の血液検査では異常がでにくい肝臓・膵臓・腎臓・胆のうの異常を見つけられます。健診で一般的に行われるレントゲン(X線)も心臓や太い骨の裏にできた小さながんは見逃がされます。私の父も、毎年市の健診で通常のレントゲンは受けていましたが、嗄声(声がれ)の症状が続いて、精密検査で胸部CTを撮ったところ肺癌がみつかり、治療の甲斐も虚しく10ヶ月で他界しました。早い段階で胸部CTをとっていればと9年経た今でも悔やまれます。

また、マンモグラフィーもおススメしますが、日本人は高濃度乳腺(脂肪に比べて乳腺が多い)の方の割合が高く、がんが隠れて見えにくいため、乳腺超音波を併用して行うと早期に見つけやすくなります。私も毎年受けていましたが、昨年マンモグラフィーで初めて石灰化を指摘され、併用した乳腺超音波では異常は見つかりませんでした。その2つの結果を持って乳腺外科を受診したところ、こちらも定期的に検査していくことになっています。

人間ドックは、通常の健診と比べて自費ですし、オプションをつけていくとさらに費用がかかります。それでも大腸カメラ・腹部超音波・胸部CT・女性の方であれば、マンモグラフィーと乳腺超音波は、是非受けていただきたいと思います。特に40歳を過ぎたら、「現在症状がない=健康」ではないことを自覚して、自分の身体と真摯に向き合っていきましょう。

未来への貯金

2026年5月21日

未来への貯金

第81号:2026年4月号

 娘はかれこれ5年、近視抑制治療のために低濃度アトロピン点眼薬を使用しています。先日眼科を受診した際に、眼軸の長さを測っていただき、長くなってくると緑内障の発症リスクが高まることを教えていただきました。緑内障って大人のしかも高齢の方の病気だと思っていた私は、10代でも発症することを知り大変驚きました。この眼軸を伸ばさないためにも、近視抑制治療が有効であり、近視の進行を抑制しながらも、別の病気を未然に防げることに大変ありがたいと思いました。保険診療ではなく、自費診療ですが1か月4400円です。日常的にすぐに視力が回復するといった治療ではありませんが、未来への貯金だと思って続けています。

そして当院で行っている、舌下免疫療法(ダニ・スギ)も、スギ花粉症や通年性アレルギー性鼻炎でお悩みの患者さんに、1日1回治療薬を舌の下に置き、1分間保持した後のみこむという治療で、300名以上の方が継続されています。3-5年の継続が推奨されています。服薬してすぐに症状が改善するわけではありませんが、1年・2年・3年と続ける中で、アレルギー検査で明らかに数値が下がり、ご本人を悩ませていたくしゃみ、鼻汁、鼻づまり、目の痒みの改善、アレルギー治療薬の減量、日常生活の質の改善が期待できます。毎日やることに抵抗を示される方もいらっしゃいますが、歯磨きや顔を洗うのと同様に習慣化してしまうと、たった1分という簡便さも相まって皆さん長く続けていただいています。そして振り返ってみると、治療開始前は花粉の時期毎日箱ティシュを持参していたお子さんが、少量のアレルギー薬で症状が改善したり、外で活動できたり、集中できるようになったり、イライラしなくなったことを実感してお喜びいただいています。特に受験の時期と重なるため、勉強に集中できるよう是非未来への貯金だと思って始めてください。スギの舌下免疫療法は6月から治療開始できます。しかも保険診療が可能です。

私自身も更年期障害に悩まされ、ホルモン補充療法を2年近く続けています。正直劇的な改善がないため、やめるかどうか悩んでいましたが、骨粗鬆症や高コレステロール血症の予防にもなるため、婦人科の先生と相談して先日継続することに決めました。

未来への貯金だと思って・・・。

挨拶できない大人たち

2026年3月27日

挨拶できない大人たち

第80号:2026年3月号

 研修医の頃、精神科の女性医師のロッカーに「あいさつは人間関係の潤滑油」というメモが貼ってありました。毎朝出勤してくる度に、ご自身で見て気持ちを整えていたことでしょう。あれから20数年の時を経て、本当にそうだなと様々なシーンで思います。携帯をいじりながらずっと下を向いて、目も合わせず診察室に入ってきて、お子さんの診察中もずっと同じ状況の親御さんがいます。パソコンで仕事をしながら診察室に入って来る方も。人に相談する時、毎回このような態度をとるのでしょうか。ご自身が逆の立場なら、どんな思いになるでしょうか。「仕事が忙しくてなかなかこられないので、薬を多めに出してください」「まだ症状ありませんが、次いつ来られるかわからないので、とりあえず出しておいてください」お子さんの病状が命に関わるようなものであれば、このような発言はでてこないはずです。その程度のもの、本来医者にかからなくても治ると思っているからではないでしょうか。

 月曜日Aクリニック、よくならず水曜日Bクリニック、最後金曜日に当院ということも頻繁にあります。普段から当院がかかりつけで、休診日に他のクリニックを受診したというならわかります。昨今その都度あちこち受診される方が非常に多くなりました。虫歯治療中でこのような受診の仕方はまずないと思います。ひとつの医療機関で一定治療してきたけれど改善がないので、別の医療機関で相談したいというのであればわかります。お子さんの病気は風邪や胃腸炎など、定期通院しなくても、薬を飲んでも飲まなくても1週間以内に治る病気が大半です。また受給権を提示すれば、外来負担200円、処方薬(医薬品)無料というコスパの良さ、小児科クリニックが乱立し、かかりたいときにどこへでも容易にアクセスできることもそのような受診に繋がっていると思います。

さて挨拶の話に戻りますが、われわれ医療従事者も生身の人間です。目も合わせず、質問したことにも首を傾げて答えず、ご自身の要求ばかり一方的にぶつけてくる方と大切なお子さんの心身の健康に共に向き合うパートナーになり得るでしょうか。もちろん過度なことは必要ありません。必要最低限気持ちの良い挨拶、お子さんの状況に真摯に向き合う姿勢、人に対するあたりまえの敬意をお互いに持ち続けたいものです。

まさに「挨拶は人間の関係の潤滑油」

お困りの程度に応じて

2026年2月20日

お困りの程度に応じて

第79号:2026年2月号

 年度末はアレルギー書類の更新時期でもあり、この時期にのみお会いする方も多数来院されます。特に食物アレルギーは、口の中や喉が少し痒くなる程度の軽いものから、アナフィラキシーという重篤な症状を引き起こすものまで様々です。誤食なく1年間順調であれば良いのですが、昨今木の実(くるみ・カシューナッツ等)アレルギーが急増し、加工されておもわぬものに入っているため、

総菜やお菓子の購入、外食や旅行等の際に誤って食べてしまうケースが後を絶ちません。症状が軽い方は、うがいや抗ヒスタミン薬の内服で改善しますが、アナフィラキシー既往のある方には、エピペン(アドレナリン自己注射薬)を処方し、更新時期には手技(誤食時に正しく使えるかどうか)を確認しています。食品表示が義務付けられているものとそうでないものがあり、学童や遠足でのお友達同士でのおやつ交換等でもリスクが高まります。そうした事例をあらかじめお知らせして、いかに回避できるかをお互いに情報共有しています。

そして、入学が近づいてきて増えてくるのは発達のご相談です。幼稚園・保育園時代から本人の発達の特性を考慮して、療育や医療機関と適切につながっていれば焦ることはないのですが、周囲から成長とともにいつかは・・・と濁されてきたけれど、いよいよその行動が入学を控えたこの年齢では、日常に差し障りが生じてしまう場合、園のような手厚い援助が受けられないことも考慮して慌てて来院される方がいらっしゃいます。お話を伺うと、ずっとその兆候はあったものの、年齢的に今は問題ないと言われ介入しないまま成長しているのです。乳児期の健診以降は、1歳半、3歳、その後は就学前まで健診がありません。すでに5歳児健診を行っている自治体もありますが、2028年までに全国の自治体で実施率向上を目指しています。主な目的としては、3歳児健診以降に成長した精神面や生活習慣をチェックし、就学前の不安解消や、必要に応じて早期支援に繋げることです。この早期支援というのが本当に大切であると実感しています。かつては、一般的に発達障害と言われていた神経発達症、脳の働きに生まれつき特性があることで、日常生活に支障がでる状態です。「うちの子は障害なんてありません!」と全否定される親御さんもいらっしゃいました。でも学校生活が始まり苦労するのはご本人なのです。

アレルギーも発達もその他全てお困り事の程度に応じて、お子さんに様々な専門家が早期から関わって日常生活を支えていけるといいですね。

選ばれる人になる

2026年1月26日

選ばれる人になる

第78号:2026年1月号

 新しい年がスタートしました。SNSが発展し、情報はAI先生が教えてくれるこの時代、「選ばれる人になること」が重要だと思っています。この人に頼みたい、この人に教えてもらいたい、この人と一緒に働きたい、この人と一緒に〇〇を頑張りたい等ありますが、選ばれる人になるために何が必要なのか私なりに考えてみました。一つは、学び続けること、2つめは思慮深いこと、最後に礼節を重んじることです。

これまでの経験は大切ですしそれに基づいた感性も必要ですが、やはり時代に合わせて正確な情報をアップグレードしていく必要があります。例えばわれわれの専門であるアレルギーの世界は、ダイナミックに変化しています。病気そのものの捉え方や治療においても日進月歩で、常に勉強していかないと専門医でもついていけません。学会や勉強会、セミナーに積極的に参加して意見交換をし、新薬がでればその有用性について、製薬会社の担当の方を招いてクリニックスタッフと院内勉強会を開催したりもしています。プロとして学び続けていく必要性をいくつになっても感じています。これはどの分野においても性別・年齢問わず言えることではないでしょうか。

そして、思慮深いこと。衝動的に判断し行動せず、物事を注意深く、慎重に考え抜き、様々な視点で捉えられること。最後に礼節を重んじること、単に形式的なマナーということではなく、他者への敬意とおもいやり、丁寧な言葉遣い、立場や気持ちを尊重する、時間を守る。そうしたことの積み重ねが信頼関係を築き、良好な人間関係に発展していくのではないでしょうか。信頼を得るには相当な時間を要しますが、失墜するのは一瞬です。

人から選ばれる人になる努力をすると共に、自身も人を選んで良いと思います。時間を守らない人、一方的に要求してくる人、やってもらって当たり前と思うような人、依存的な人、支配的な人、さらに恩を仇で返すような人とは潔く決別しましょう。心地よい人間関係の根底にあるのは、お互いの信頼と尊敬です。

学び続けながら、己の感性を信じ、人間力を高めて、さあ新しい年を始めましょう。今年もよろしくお願い申し上げます。

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