診療報酬に縛られて
2025年8月5日
診療報酬に縛られて
第73号:2025年8月号
流山市は受給権の提示で高校卒業まで窓口負担は一律200円、薬代は皆さんの支払いは無料です。もちろんわれわれの診療が200円なわけではなく、薬も決して無料ではありません。毎年国が定める「診療報酬」に左右されます。診療報酬は、1点=10円です。例えば、6歳未満のお子さんの初診料が600点とすると、皆さんの負担は200円でも実際は6000円かかっています。ただ包括払いと言って、全てがそこに含まれてしまうので、検査をしてもその分の報酬は追加請求できません。全てクリニックの持ち出し(負担)となります。コロナ禍では、発熱加算がありました。発熱のお子さんを診療しコロナの抗原検査をすると、追加加算(通常診療にさらに上乗せの診療報酬)がありました。大人と違って幼いお子さんの診察や検査には、マンパワーが必要です。昨年から発熱加算がなくなりました。発熱のお子さんの診察や検査、やっていることはコロナ禍と全く同じですが、大幅に診療報酬が低くなりました。
今どこの病院やクリニックも経営危機に陥っています。そして診療報酬に左右されないものが、自費診療となります。美容外科や美容皮膚科等がそれにあたります。「直美」という言葉をご存じでしょうか?現在医学部を卒業後、2年間初期研修が義務付けられていますが、3年目から直接美容に進むことをそのように表現(揶揄)されています。診療報酬に縛られないからです。その影響で内科、外科、産婦人科、小児科を希望する医師が年々減っています。人命に関わる上、責任も重いのに、診療報酬は大幅に下げられている。医師も生身の人間であり、家族もいて自分たちの生活もかかっています。私自身は小児科医という仕事に誇りを持っていますし、これからもずっと続けていくつもりです。ただ、現状続けていくことが非常に厳しい状況に立たされていることは、皆さんにも是非知っていただきたいと思っています。
冒頭の話に戻りますが、窓口200円、薬無料は、結局毎年皆さんが支払っている、さらに毎年上がっている社会保険料から補填されています。限られた医療資源を、本当に必要な人に高い水準で届けていきたいと常日頃から考えています。時々、多めに薬もらえますか?保湿剤もついでにもらえますか?と頼まれますが、お断りしています。私はお子さんに必要な薬を最小限にしか処方していません。限りある医療資源(人も検査も薬も)であること、結果的に皆さんが負担していること、これを機に今一度考えていただければ幸いです。