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院長コラム

アレルギーにしたい?

2021年2月15日

アレルギーにしたい?

年末特別号

 

たとえば虫歯でもない歯の検査や治療をされたらどうでしょう?折れてもいないのに骨折として診断されたらどうでしょうか?みなさん誤診だ!と怒るのではないでしょうか。

 

では、アレルギーではないのに(その可能性が低いのに)アレルギーとして診断されていたらどうでしょう?特に食物アレルギーは、誤った診断が今も尚存在しており、血液検査の結果だけで、複数の食物除去を長期間指示されていることは珍しくありません。お子さんにとっては非常に不利益ですね。

 

当院に相談にいらっしゃる親御さんの中には、アレルギーの可能性が低い旨を伝えると、「あと何度こういう症状が起これば、アレルギーと認めてもらえるのですか?(泣き)」「どうして1回診察しただけでアレルギーじゃないと言えるのですか?(怒り)」というように、泣いたり怒ったりする方が一定数いらっしゃいます。決して、アレルギーではないと断言しているのではなく、また診察のみでそう判断しているわけでもなく、これまでの症状のエピソードや肌の状態等総合的に判断して、現時点ではその可能性が低いから、すぐに血液検査をする必要がない旨、今後の食べ進め方やどのような症状がでれば積極的に疑うのかをご説明しているのですが・・・。

 

もちろん症状や経過から強く疑えば、こちらから採血が必要な旨をお話しして検査します。ただ想像してみてください、赤ちゃんを採血する場面を。血管は見えませんし、複数のスタッフで泣いて暴れる赤ちゃんを抑えてと非常に難しく、また赤ちゃんにも大きな負担をかけてしまいます。冒頭の虫歯でもない歯を治療されたら、親御さんは怒ると思いますが、アレルギーの可能性が低いとお話ししても、とにかく採血してくださいの一点張りの方がいます。正直赤ちゃんに辛く痛い思いをさせることへの抵抗が、低いように感じます。

 

昨今乳児期から保育園に行く事情から、自宅では問題がないのに園で症状がでてしまうと、園の先生が非常にナーバスになり、受診して血液検査をしてくるよう求めるケースが見受けられます。病院では必要ないと言われ、園からは採血ありきで話をすすめられ、板挟みになることもあるでしょう。そんな時当院では、直接園の先生に説明をしますから、園からご連絡いただいてもいいですよと伝えます。ところが、直接園の先生からご連絡がくることは、非常にまれです。

 

大人は自分で判断して、検査をするかどうか、治療を受けるかどうかを決定できますが、子どもはそうはいきません。本当に必要な検査や治療であれば、多少の負担は仕方がありませんが、可能性が低いのにいきなり検査をするのは、お子さんにとってどうでしょうか。

 

せっかく相談にいらしたのだから、まずはわれわれの説明を聞いたうえで、それを冷静に受け止めて実践してみること。子育てのすべての場面において、感情的にならずに、状況を冷静に判断し行動することは本当に大切です。

 

医療者も保護者も、勝手にアレルギーの病気を作り出してはいけませんから。

 

 

 

 

 

 

 

なかなか治らない?

2021年2月15日

なかなか治らない?

第17号:2020年12月号

 

0歳1歳のお子さんを、保育園に預けて働いている親御さんからよく聞く言葉です。「なかなか治りません」

 

生後半年で、母親から受け継いだ免疫はほぼ半減します。1歳前後ではほぼ0に。ここからは、自身の免疫を働かせるしかありません。生後2か月からのワクチンは、特定の病気(かかると重症になる)の免疫をつけるものであり、風邪のウイルスのように次から次へと変異して数百種類ある病原体に対しては、あまり効果を発揮しません。もちろん人には生まれ持って存在している自然免疫がありますが、乳児の免疫機能はまだまだ未熟です。

 

ウイルスの種類によっては、単純な鼻かぜではおわらず気管支炎をおこし、ときには二次的に菌が感染して肺炎を起こすこともあります。登園すればさまざまなウイルスにさらされますが、乳児は自分で手洗いやうがいもできません。ましてやマスクもつけられません。ある程度繰り返し暴露されて、自身の免疫を獲得していくしか方法がないのです。熱がないからといって、まだ完全に回復していない状態で登園させれば、新たなウイルスに感染します。気が付けば2-3週間咳と鼻汁がとまらない、ときにぜいぜいするなんてことは誰もが通る道なのです。

なかなか治らない・・・。病院の処方薬は、ウイルスを直接やっつけるお薬ではなく、あくまで症状を和らげるだけ。つらい咳に対して、からむ痰を出しやすくする程度です。一体誰が治しているのか?それは本人です。本人の免疫の機能によってウイルスを排除しているのですが、先述の通りまだまだ未熟です。そんな時は、登園させずに1週間くらい休ませるしか他に手立てはないのです。

 

仕事を休めないから・・・。こんな声も聞こえてきます。はたしてそうでしょうか?共働きであれば、お母さんが1日有給をとって自宅で過ごす、お父さんも1日有給をとって自宅で過ごす。今の時代ならテレワークだってある。土日と併せると4日間確保できます。その他病児保育を利用したり、シッターさんに自宅に来てもらったり、祖父母の力を借りたり、そうやって多くの人の手や利用できるサービスを活用しながら、感染リスクの高い0歳1歳時期を乗り切るしかないのです。

途方もない話しのようですが、これがずっと続くわけではありません。2歳半、3歳にもなれば、驚くほど感染する回数が減ってきます。そこまでの辛抱と言えるのです。お子さんを第一に考えた生活プランを組み立てることが、なにより大切です。

 

子育ての道のりはまだまだ長いものの、振り返って0歳1歳の育児をやり直すことはできません。「なかなか治らない」はお子様からの切実なサイン(幼い児に心身ともに相当の負担をかけている)と思って、思い切って休ませましょう。それができる様にさまざまな方法を考えましょう。

 

組織で働いていれば、仕事の代わりは必ずいます。でも、あなたのお子さんの親の代わりは他にはいませんから。

情報を味方に

2021年2月15日

情報を味方に

第16号:2020年11月号

 

ネットで検索すれば何でも欲しい情報が手に入る時代、その手にした情報は日々の生活に本当に役に立つものでしょうか?

 

微熱が続くので心配だと来院された小学生のお子さんとそのお母さん。どうやら「微熱・子ども」で検索したら、「小児がん」とでてきたため、小児がんではないかとのこと。もちろん、小児がんの初期の症状には微熱が続くというのがないわけではありませんが、反対に微熱のお子さんで小児がんだった方がいったいどれほどいるでしょうか。そもそも小児がん(0~14歳)の罹患率は、人口10万人あたり12.3人です。実に0.0123%、これはネットでも楽に調べられる数字です。まずは、お子さんの様子をよく観察して、このところ学校や習い事で疲れていなかったかな?急に涼しくなったから体調を崩したのかな?週末はゆっくり休ませてみようかなと考えるのが自然な流れではないでしょうか。微熱=小児がんはあまりに飛躍しすぎといえます。他にも、頭痛=脳腫瘍、鼻血=白血病、首のしこり=悪性が心配等、上げればきりがありません。

 

どれも、情報に惑わされ、得体のしれない不安にさいなまれてしまった結果ではないでしょうか。あるいは検索しなければ、知らなければ発想しなかったでしょう。ある物事を大変よく理解している、または全く知らなければ「偏見」は生まれません。中途半端な情報に一喜一憂して、なんだかよくわからないけど怖い・不安・心配の成れの果てが「偏見」です。情報を鵜呑みにして、あたかも自分の考えかのような錯覚におちいる、これはまさに思考停止状態です。

 

日夜垂れ流される情報の中から、本当に信頼できる情報を探し出し、さらにその情報が自分や家族にとつて本当に有益なものなのか、今一度しっかりと自分の頭で考えるくせをつける必要がありそうです。

情報を味方にして、穏やかな日々を送りたいものですね。

 

読書のススメ

2021年2月15日

読書のススメ

第15号:2020年10月号

 

ズバリ最近本を読んでいますか?目まぐるしい日々の子育ての中で、ゆっくり時間をとるのは難しいかもしれません。幼いお子さんへの絵本の読み聞かせは、情緒を育み、親子の穏やかな時間を作ってくれ、寝る前であれば寝かしつけにもってこいです。それを習慣にして、絵本を何冊読んだら寝ようと決めている方も多いのでは。少し前に流行った「おやすみ、ロジャー」は読んでいる親御さんが先に寝落ちしてしまう程とか?

お子さんが小学生くらいになり、絵本ではなく小説や伝記、もちろんマンガでも一人で読めるようになったら、是非親御さんもお子さんと同じ本を手に取って読んでみてください。最近の小説やマンガは子供向けとは思えないほど、人物設定や物語の展開がよく練られているので、大人が読んでも十分に楽しめます。なにより同じ本を読み、その内容や人物の想いを共有することは、日頃の親子関係を良好に保つツールにもなります。

 

たとえば日常のなにげない会話の中で、何かトラブルが起きてお子さんと話し合うときでも、そういえば○○(本のタイトル)にでてきた主人公の○○ちゃんなら、こんな風に思うかな?あの時もこうやって解決していたねと、より具体的に気持ちを想像して、解決方法を考えるヒントが本の中にはたくさん隠れています。

お子さんにとっても、自分が興味をもっている本を親御さんが一緒に読んで、ストーリーを共有してもらえることは、本当に嬉しいものです。同級生と盛り上がるのも楽しいのですが、大人は人生経験を積んだ分感じ方も異なるため、お子さんにとっては親の意見はとても新鮮です。親御さんにとっても、同じものを読んでもこんなに感じ方が異なるのかと、我が子の成長を感じられるすばらしい時間となるでしょう。

もちろんお子さんと本を共有するだけでなく、親御さん自身が日常的に本を読む姿は、お子さんが本好きになるうってつけの方法です。

秋の夜長に並んで読書、心の栄養補給になりますよ。

だまし打ちは禁物

2021年2月15日

だまし打ちは禁物

第14号:2020年9月号

 

注射を打つことを直前まで知らされず、いきなり診察に入ってきて注射だとわかり、激しくパニックをおこすお子さんがいます。これを我々は「だまし打ち」とよんでいます。親御さんにしてみれば、事前に注射だと知らせると愚図ってそもそも病院に行きたがらない、そのため伝えないで連れてくるという言い分なのですが・・・。診察だけだと思って連れてこられて、いきなり注射を打たれる子どもの身にもなってみてください。“だまされた”と心の中で落胆していることでしょう。

では、次に本当に診察だけで病院に行くときはどうでしょうか。今日は本当に診察だけだからと言って、お子さんが信用するでしょうか。この前もそういって注射だった、だから今回も行きたくない。愚図りながら泣き始める。もう二度と病院には行かないというかもしれません。

 

結果的に、最初の時点で注射することをきちんと話し、さらにどうして注射が大切なのかも説明し、多少愚図っても、時間はかかっても正直に伝えた方が良かったとなるわけです。そして、頑張ったらしっかり褒めてあげる。子どもとの信頼関係を築いていくには、日々のこうした積み重ねが非常に重要になります。まただまされたという先に築ける親子関係は良好となるでしょうか。いつもお母さん・お父さんは正直に話してくれ、教えてくれ、励ましてくれ、最後には味方になってくれる。こどもに与える安心感により、親を信頼し家庭に安らぎを感じるのです。

これをセキュリティーベースと呼んでいます。いわゆる安全基地です。この安全基地があるからこそ、外にでて冒険ができる。様々なことにチャレンジしたり、それにより失敗したり、辛い思いをするかもしれない。それでも、エネルギーをチャージできる場所があるからこそまた頑張ることができる。

 

どうぞ日頃からお子さんと温かい信頼のベースを築いてください。だまし打ちは禁物です!

 

のびのびとしつけの境界線

2021年2月15日

のびのびとしつけの境界線

第13号:2020年8月号

 

診察室でふざけたり、騒いだりするお子さんがいます。もちろん0歳1歳児のお話しではありません。4-5歳や小学生のお話しです。我々が親御さんに病状を説明していると、大きな声をだしてうろうろしたり、話を遮ったり。もちろん発達障害の要素を持っているお子さんもいますが、そうではないのに何を言っても聞かない、親御さんが何も言わないことも多々あります。そんな時私は、その子の目をみて「今お母さんと先生大切なお話ししているから、ここにいるなら静かに座っているか、ここで待てないのであれば向こうで本を読んで待っていて。どうする?」と子どもに直接話しかけ、選択肢を与えて本人に決めてもらいます。あまりにも目に余るときは、はっきりと「静かにして」と一言短く注意することもあります。

本来受診の前に病院はどういうところなのか、騒いだりふざけたりしても良いところなのか、きちんと親子で対話する必要があるのではないでしょうか。もちろん病院に限りません。公共の施設や交通機関、その他すべてに言えることです。何も言わない=のびのび育てることではありません。日常的に命令や否定や禁止語ばかりを並べても、子どもには伝わりません。それどころか、何を言われてもスルーしてしまう。きちんと伝えるには、理由や説明が必要です。どうして?何で?自分がその立場だったら?親自身もまた明確な考えをもっていなければ、子どもと対話できません。きちんと約束を守れた場合は認めて褒めてあげる。できなかったときはしかりつけるのではなく、どうしたらできるか一緒に考え、反省し次につなげる。

のびのびとしつけの境界線。社会性の基盤は家庭から、将来社会にでても恥ずかしくない人間性を養うには、人として大切なこと、必要なことを幼い時から親子で話しあい、子どもの意見を認め、励まし、サポートしていく。その先に、本当にのびのびしたお子さんが育っていくのではないでしょうか。

 

のびのびのベースは、基本的なしつけから。

 

新しい教科書

2021年2月15日

新しい教科書

第12号:2020年7月号

 

普段の診療の中で、正直「え?どこが心配なの?」と思ってしまうような些細なお悩みで受診される方がいます。親御さんにしてみれば、それは些細なことではなく、子育ての苦悩の中で徐々に膨れ上がってしまった不安が、お子さんのほんの少しの変化や違いに投影されてしまっているのではないかと最近考えるようになりました。

 

当たり前ですが、子どもはひとりひとり違います。それを個性とよびますが、違うからこそおもしろく、違うからこそ育てがいがあるというものです。顔や体形、髪質、爪といった見た目から、病気になりやすさなりにくさといった体質的なもの、性格。兄弟姉妹でも、同じ親から産まれたのにこんなにも違うの?と不思議に思うことも多いですよね。

 

だからこそ、子育てに決まった教科書は必要ないのです。個性に合わせて、個性を認めて、時に知恵比べをしながら、楽しみながら、年の離れたよき理解者相談者として、ゆったりと向き合っていけばよいのではないでしょうか。各家庭の中で新しい子育て本を、時間をかけて描いていけばいいのです。

 

子どもの体の事や性格的なこと、目先の小さな事に一喜一憂してしまう時は、親御さん自身の気持ちに余裕がなく、苦しい状況におかれている時だと思い、周囲に黄色信号を発信してみてはどうでしょうか?本来子育ては、個性豊かな才能をもった、未来ある人格に向き合えるすばらしい営みなはずです。しかし子育ての中では、日々のイライラや不安、先の見えない苦しさに押しつぶされそうになることもしばしば。

 

そんな時は、親もまた親になるための試練を与えられているのです。なぜなら、誰にもまねできない新しい子育て本を、今まさに描いている途中なのですから。

 

 

心の声を聴く

2021年2月15日

心の声を聴く

第11号:2020年6月号

 

これまで想像できなかった事態やその変化に、ストレスと感じているのはもちろん子どもも同じです。なかには、この状況を楽しんでいるお子さんもいますが、長くなってくると心因性の頻尿、心因性咳、腹痛や頭痛といった不定愁訴、手洗いがやめられない強迫神経症一歩手前のお子さんが増えています。

 

当院でも、明らかに感染性ではないのに嘔吐を繰り返すお子さん、頭痛を訴えるお子さん、手を必要以上に洗わないと気が済まないお子さんの受診がこのところ見受けられます。そんな時、親御さんの受け止め方はそれぞれです。こんな状況であればストレスに感じて当然、症状とうまく付き合いながら、乗り越えようとする方、何の病気ですか?と原因を追究して、怖い病気が隠れているのではないかと不安がる方、そのためあちこちのクリニックや病院を転々としてしまう。

子どもは親の気持ちにとても敏感です。親御さんが必要以上に恐怖や不安にかられてはいませんか?その気持ちがお子さんにも伝染してしまうことを少しだけ考えてみてはいかがでしょうか?私はよく「正しく適度に怖がる」とお話ししています。“過ぎたるは及ばざるがごとし”マスコミの半ば不安をあおるような情報に一喜一憂せず、こんな時だから親御さんが毅然とした態度で、お子さんの今の気持ちや声にだせない心に向き合ってみてはどうでしょうか。

 

普段仕事が忙しい小学生のお母さんは、“こんなに毎日一緒にいるのは赤ちゃん以来のこと”と少しこの状況を楽しんでいました。ゆっくりお子さんと話す中で、こんなことを考えていたの?と子どもの成長に新たな発見があったそうです。心の通った笑顔と会話。

今こそお子さんの心の声にゆっくりと耳を傾けてみませんか。

 

 

情報の大切さ

2021年2月15日

情報の大切さ

第10号:2020年5月号

 

自分の辛さや苦しさを言葉で表現できない乳幼児にとって、親御さんからの情報はまさに頼みの綱です。いつから症状が始まって、どのように変化したのか、だんだんひどくなっているか、食欲や活気はいつもと比べてどうか、熱の経過は、集団生活をしているか、その園ではどんな感染症が流行しているか、兄弟はいるか、ワクチンはきちんと接種しているか、これまでどんな病気にかかり治療してきたか。

当院で母子手帳やお薬手帳を必ずご持参いただくのは、その中にも必要な情報がたくさんつまっているからです。出生時の状況や乳児期の発達、ワクチン接種歴など、また当院を受診される前に他院でどんな治療をしたかなど、どれもこれも大切です。

 

受診されて、すぐに診断がつくことは意外に少ないものです。病院に来ればすぐに診断がついて、治す薬をもらえると考えている親御さんは意外に多くいらっしゃいます。しかし、われわれが診ているのはお子さんの全身状態(体温・心拍数・呼吸数・喉や耳、胸やお腹の診察)から客観的に判断して、今の状態は緊急性を要するような状態かどうか、いわゆるトリアージしているのです。その上で、必要であれば検査を行い、今日の診たて(現在考えられる病状)を説明し、自宅での療養ポイントや、状況が変化した際は早めに受診してもらいたい旨をお伝えしています。

そう考えると、われわれと親御さんはお子様の体調をお互いに見守っていくパートナーなのです。信頼関係が必要です。病院に連れてきて終わりではなく、病院にくる前の状況、きて診察を受けた時、その後とお子さんの病状は刻々と変化していきます。良くなる場合、横ばい、残念ながら悪化していく場合もあります。

日頃からお子さんの様子をよく観察していただき、受診の際にはどうぞ必要な情報を的確にお聞かせください。その情報こそが、お子さんが元気になっていくために必要な治療に直結するのですから。

苦しい時こそ冷静な対応を!

2021年2月15日

苦しい時こそ冷静な対応を!

第9号:2020年4月号

 

乳児に当たり前のように接種していたBCGが急に足りなくなりました。開院してからも、その前もこんなことは初めてです。少し前は喘息治療薬のオルベスコ(吸入ステロイド薬)が品薄になりました。喘息の定期通院の方が多いわがクリニックでは、これまた日常的によく処方する大切な薬です。一体何がおきたのでしょうか?

一部報道により、新型コロナウイルスで入院中の患者さんにオルベスコを投与したら、呼吸状態が改善した。BCGを接種している地域は、重症になる人が少ないといったことから、いわゆる普段使用しないところからの発注が増えたと考えられます。

これはいわゆる、買い占めと同じ原理です。供給はいつも通りで本来なら不足するはずがないのに、突然行き届かなくなる。乳児は公費でBCGを接種できる権利があります。喘息児も治療できなければ、発作に見舞われます。まさに本末転倒ではないでしょうか。BCGを接種できなくなる乳児のリスクなどおかまいなしなのです。

ピンチのときこそ、人間の真価が問われます。不安をあおるような情報をうのみにして、買い占めをはじめとする自分さえよければ的な行動。または、自分は大丈夫と根拠のない自信と不適切な行動で、結果的に周囲を傷つけてしまう。こういう時こそ、自ら正しい情報をとりにいく。とり方がわからなければ、信頼できる人が発信しているものを追いかけ、正しい知識を得ていく。漠然とした不安は、さらなる不安を助長し、怒りの感情は増大していきます。子どもの命も自分の命も守るために今何をすべきか?

 

ひとりひとりが冷静に考え行動してこそ、先の見えないこの状況を打開する一歩につながるのではないでしょうか。こんな時だから、子どもの隣に座って一緒にお勉強、並んでお料理、ゆっくりお風呂、ストレッチ、楽しい会話。苦しい状況だからこそ、努めて気持ちを穏やかにしたいものですね。

 

 

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