2021年6月1日
2021年5月6日
2021年4月1日
2021年2月15日
第20号:2021年3月号
小学校3年生の女の子が、休み時間に1人で読書をしていたら、クラスメートの女の子がきて、「〇〇ちゃんは、サイコパスだよね~。」と言われました。その子は、最初何のことかわからず、どちらかと言えば文句に近いなと直感したようです。その後も事あるごとに言ってくるので、ある日帰宅後に母親に伝えると、「それはひどいわね。担任の先生に連絡しようか?」となりました。そこで女の子は、「いや、自分で解決したい。まだ先生にいわないで」と。
そこで、女の子と母親は“サイコパス”という言葉をネットで一緒に調べてみました。いろいろ難しい事が書いてあったけど、その子は(人の心がない人、愛情や優しさを持たない冷たい人、精神的におかしな人)と解釈しました。併せて載っていた“サイコパス診断テスト”も受けてみました。いくつかの質問に答えていくのですが、例えば平気で嘘をつく・後悔しない・感情がない・問題行動を起こすなどでした。どれも当てはまらず、私はサイコパスなんかじゃない!と強く思ったようです。
後日クラスメートからまた同じことを言われました。今度はきちんと「サイコパスって意味を知って使っている?精神的におかしな人のことだよ。私は違うから。」ときっぱり言ったそうです。そういうと、相手の女の子はそれ以上何も言い返せなかったと。
ただからかっただけかもしれません。最近知った言葉を使いたかっただけかもしれません。あるいは親御さんが日常的に使っているのかもしれません。それでも、むやみに言われ続ける方はたまったものじゃありません。親が先生に話して、やめてもらうよう頼むのも一つの方法かもしれませんが、子ども同士のいじめは年々陰湿になっています。ましてや、小学生も中高学年になると、自我もでてきて頭も良く働きます。
親が先回りして介入するよりも、子ども自身が解決する道をそばでサポートしてあげるのも、親としては大切なことかもしれませんね。
本当のサイコパス((+_+))にならないためにも・・・。
2021年2月15日
第19号:2021年2月号
「残さず食べなさい!」「好き嫌いしてはいけません!」何十年も当たり前のように言われ続けてきたこの言葉。飢えが厳しい戦時中ならいざ知らず、飽食の時代にはたして当てはまるでしょうか?
食べる量なんて、その子その子によって違います。1回量が少ないお子さん、食べることに貪欲でおかわりするお子さん。年齢や個性によって違って当たり前なのに、なぜあらかじめ大人が感覚的に決めて出した量を、間食しなければいけないのでしょうか?食べないと「なぜ残すの?」と怒られる。
好き嫌いだってしかり、味覚は人それぞれ違うものであり、今の時代に特定の野菜が食べられないからといって、栄養が偏ることは考えにくいでしょう。(もちろんお菓子でお腹がふくれてしまうことは賛成しません)「好き嫌いが多いと大きくなれないわよ。給食で困るでしょ。」と嫌がっているのに無理やり脅して食べさせる。
本来家族の食卓は、楽しく「おいしいね」と言いながら囲むものなのに、親はキーキー言いすぎてストレス、嫌いなものを強要される子どもは地獄。食育なんてあったものじゃありません。
大人だって苦手な食材(ちなみに私は牡蠣が食べられません←アレルギーではない)はありますし、昨今食物アレルギーの増加に伴い、根性で食べるなんてナンセンスなはずです。アレルギー食材であれば、誤って食べれば、事故につながることも・・・。
もちろん、食べてもらう工夫(調理方法や一緒に料理する等)をすることは大いに結構ですが、子どもの頃の好き嫌いなんて所詮、大人になったらほぼ克服されていますから。今多少の偏食でもいいじゃないですか。
もういい加減古い呪縛から解放されて、家族で楽しい食卓を囲みませんか。
2021年2月15日
第18号:2021年1月号
コロナ一色だった2020年。新しい年を迎えましたが、まだまだ収束しそうにありません。感染対策をとり、新しい生活様式を受け入れながら、もとの生活に戻るにはもう少し時間がかかりそうです。(おそらく2022年頃かと)
日々の生活の中で、新しいものを習慣化することはとても難しい事です。なぜなら、人間は変化を嫌う生き物だからです。ただ歯磨きや入浴は誰でも当たり前のようにやっています。虫歯になるまで一切歯磨きしない人なんていませんよね。毎日続けられるのは、必要だと自覚しているからです。
当院で喘息やアトピー性皮膚炎の治療、花粉症の舌下免疫療法を始めても、どうしても続けられない方がいます。お薬の飲み忘れやよくなるとスキンケアもやめてしまい、舌下錠もやったりやらなかったりで、大量にあまってしまう。今日明日目に見えた変化を感じられないから?症状がおちついているから?やってもやらなくても本人が困らないから?
内服やスキンケア、舌下錠などに要する時間は数秒~数分以内で、歯磨きよりも楽なはずです。毎日30分以上かかるようなものであれば、相当な強い意志がないと続けるのは大変ですが、数秒~数分以内できることを忘れてしまうのは、大事だと思っていないつまり習慣にできていないからです。
たとえばピアノを習い始めたお子さんが、いきなり曲を弾けるようにはならないですよね。音階を覚えて、右手だけ、左手だけ、左右併せて毎日少しずつ練習して、気が付いたら半年後1年後に弾けるようになっている。計算ドリルを1日1枚ずつやっても、急に計算力は上がりませんが、続けていくことで気が付いたら計算力がついていたということも。
2021年の幕開けです。すぐに効果が得られなくても、1年後のよりよい自分を想像して、日々の生活に良い習慣を少しずつ加えていきましょう。
2021年2月15日
年末特別号
たとえば虫歯でもない歯の検査や治療をされたらどうでしょう?折れてもいないのに骨折として診断されたらどうでしょうか?みなさん誤診だ!と怒るのではないでしょうか。
では、アレルギーではないのに(その可能性が低いのに)アレルギーとして診断されていたらどうでしょう?特に食物アレルギーは、誤った診断が今も尚存在しており、血液検査の結果だけで、複数の食物除去を長期間指示されていることは珍しくありません。お子さんにとっては非常に不利益ですね。
当院に相談にいらっしゃる親御さんの中には、アレルギーの可能性が低い旨を伝えると、「あと何度こういう症状が起これば、アレルギーと認めてもらえるのですか?(泣き)」「どうして1回診察しただけでアレルギーじゃないと言えるのですか?(怒り)」というように、泣いたり怒ったりする方が一定数いらっしゃいます。決して、アレルギーではないと断言しているのではなく、また診察のみでそう判断しているわけでもなく、これまでの症状のエピソードや肌の状態等総合的に判断して、現時点ではその可能性が低いから、すぐに血液検査をする必要がない旨、今後の食べ進め方やどのような症状がでれば積極的に疑うのかをご説明しているのですが・・・。
もちろん症状や経過から強く疑えば、こちらから採血が必要な旨をお話しして検査します。ただ想像してみてください、赤ちゃんを採血する場面を。血管は見えませんし、複数のスタッフで泣いて暴れる赤ちゃんを抑えてと非常に難しく、また赤ちゃんにも大きな負担をかけてしまいます。冒頭の虫歯でもない歯を治療されたら、親御さんは怒ると思いますが、アレルギーの可能性が低いとお話ししても、とにかく採血してくださいの一点張りの方がいます。正直赤ちゃんに辛く痛い思いをさせることへの抵抗が、低いように感じます。
昨今乳児期から保育園に行く事情から、自宅では問題がないのに園で症状がでてしまうと、園の先生が非常にナーバスになり、受診して血液検査をしてくるよう求めるケースが見受けられます。病院では必要ないと言われ、園からは採血ありきで話をすすめられ、板挟みになることもあるでしょう。そんな時当院では、直接園の先生に説明をしますから、園からご連絡いただいてもいいですよと伝えます。ところが、直接園の先生からご連絡がくることは、非常にまれです。
大人は自分で判断して、検査をするかどうか、治療を受けるかどうかを決定できますが、子どもはそうはいきません。本当に必要な検査や治療であれば、多少の負担は仕方がありませんが、可能性が低いのにいきなり検査をするのは、お子さんにとってどうでしょうか。
せっかく相談にいらしたのだから、まずはわれわれの説明を聞いたうえで、それを冷静に受け止めて実践してみること。子育てのすべての場面において、感情的にならずに、状況を冷静に判断し行動することは本当に大切です。
医療者も保護者も、勝手にアレルギーの病気を作り出してはいけませんから。
2021年2月15日
第17号:2020年12月号
0歳1歳のお子さんを、保育園に預けて働いている親御さんからよく聞く言葉です。「なかなか治りません」
生後半年で、母親から受け継いだ免疫はほぼ半減します。1歳前後ではほぼ0に。ここからは、自身の免疫を働かせるしかありません。生後2か月からのワクチンは、特定の病気(かかると重症になる)の免疫をつけるものであり、風邪のウイルスのように次から次へと変異して数百種類ある病原体に対しては、あまり効果を発揮しません。もちろん人には生まれ持って存在している自然免疫がありますが、乳児の免疫機能はまだまだ未熟です。
ウイルスの種類によっては、単純な鼻かぜではおわらず気管支炎をおこし、ときには二次的に菌が感染して肺炎を起こすこともあります。登園すればさまざまなウイルスにさらされますが、乳児は自分で手洗いやうがいもできません。ましてやマスクもつけられません。ある程度繰り返し暴露されて、自身の免疫を獲得していくしか方法がないのです。熱がないからといって、まだ完全に回復していない状態で登園させれば、新たなウイルスに感染します。気が付けば2-3週間咳と鼻汁がとまらない、ときにぜいぜいするなんてことは誰もが通る道なのです。
なかなか治らない・・・。病院の処方薬は、ウイルスを直接やっつけるお薬ではなく、あくまで症状を和らげるだけ。つらい咳に対して、からむ痰を出しやすくする程度です。一体誰が治しているのか?それは本人です。本人の免疫の機能によってウイルスを排除しているのですが、先述の通りまだまだ未熟です。そんな時は、登園させずに1週間くらい休ませるしか他に手立てはないのです。
仕事を休めないから・・・。こんな声も聞こえてきます。はたしてそうでしょうか?共働きであれば、お母さんが1日有給をとって自宅で過ごす、お父さんも1日有給をとって自宅で過ごす。今の時代ならテレワークだってある。土日と併せると4日間確保できます。その他病児保育を利用したり、シッターさんに自宅に来てもらったり、祖父母の力を借りたり、そうやって多くの人の手や利用できるサービスを活用しながら、感染リスクの高い0歳1歳時期を乗り切るしかないのです。
途方もない話しのようですが、これがずっと続くわけではありません。2歳半、3歳にもなれば、驚くほど感染する回数が減ってきます。そこまでの辛抱と言えるのです。お子さんを第一に考えた生活プランを組み立てることが、なにより大切です。
子育ての道のりはまだまだ長いものの、振り返って0歳1歳の育児をやり直すことはできません。「なかなか治らない」はお子様からの切実なサイン(幼い児に心身ともに相当の負担をかけている)と思って、思い切って休ませましょう。それができる様にさまざまな方法を考えましょう。
組織で働いていれば、仕事の代わりは必ずいます。でも、あなたのお子さんの親の代わりは他にはいませんから。
2021年2月15日
第16号:2020年11月号
ネットで検索すれば何でも欲しい情報が手に入る時代、その手にした情報は日々の生活に本当に役に立つものでしょうか?
微熱が続くので心配だと来院された小学生のお子さんとそのお母さん。どうやら「微熱・子ども」で検索したら、「小児がん」とでてきたため、小児がんではないかとのこと。もちろん、小児がんの初期の症状には微熱が続くというのがないわけではありませんが、反対に微熱のお子さんで小児がんだった方がいったいどれほどいるでしょうか。そもそも小児がん(0~14歳)の罹患率は、人口10万人あたり12.3人です。実に0.0123%、これはネットでも楽に調べられる数字です。まずは、お子さんの様子をよく観察して、このところ学校や習い事で疲れていなかったかな?急に涼しくなったから体調を崩したのかな?週末はゆっくり休ませてみようかなと考えるのが自然な流れではないでしょうか。微熱=小児がんはあまりに飛躍しすぎといえます。他にも、頭痛=脳腫瘍、鼻血=白血病、首のしこり=悪性が心配等、上げればきりがありません。
どれも、情報に惑わされ、得体のしれない不安にさいなまれてしまった結果ではないでしょうか。あるいは検索しなければ、知らなければ発想しなかったでしょう。ある物事を大変よく理解している、または全く知らなければ「偏見」は生まれません。中途半端な情報に一喜一憂して、なんだかよくわからないけど怖い・不安・心配の成れの果てが「偏見」です。情報を鵜呑みにして、あたかも自分の考えかのような錯覚におちいる、これはまさに思考停止状態です。
日夜垂れ流される情報の中から、本当に信頼できる情報を探し出し、さらにその情報が自分や家族にとつて本当に有益なものなのか、今一度しっかりと自分の頭で考えるくせをつける必要がありそうです。
情報を味方にして、穏やかな日々を送りたいものですね。
2021年2月15日
第15号:2020年10月号
ズバリ最近本を読んでいますか?目まぐるしい日々の子育ての中で、ゆっくり時間をとるのは難しいかもしれません。幼いお子さんへの絵本の読み聞かせは、情緒を育み、親子の穏やかな時間を作ってくれ、寝る前であれば寝かしつけにもってこいです。それを習慣にして、絵本を何冊読んだら寝ようと決めている方も多いのでは。少し前に流行った「おやすみ、ロジャー」は読んでいる親御さんが先に寝落ちしてしまう程とか?
お子さんが小学生くらいになり、絵本ではなく小説や伝記、もちろんマンガでも一人で読めるようになったら、是非親御さんもお子さんと同じ本を手に取って読んでみてください。最近の小説やマンガは子供向けとは思えないほど、人物設定や物語の展開がよく練られているので、大人が読んでも十分に楽しめます。なにより同じ本を読み、その内容や人物の想いを共有することは、日頃の親子関係を良好に保つツールにもなります。
たとえば日常のなにげない会話の中で、何かトラブルが起きてお子さんと話し合うときでも、そういえば○○(本のタイトル)にでてきた主人公の○○ちゃんなら、こんな風に思うかな?あの時もこうやって解決していたねと、より具体的に気持ちを想像して、解決方法を考えるヒントが本の中にはたくさん隠れています。
お子さんにとっても、自分が興味をもっている本を親御さんが一緒に読んで、ストーリーを共有してもらえることは、本当に嬉しいものです。同級生と盛り上がるのも楽しいのですが、大人は人生経験を積んだ分感じ方も異なるため、お子さんにとっては親の意見はとても新鮮です。親御さんにとっても、同じものを読んでもこんなに感じ方が異なるのかと、我が子の成長を感じられるすばらしい時間となるでしょう。
もちろんお子さんと本を共有するだけでなく、親御さん自身が日常的に本を読む姿は、お子さんが本好きになるうってつけの方法です。
秋の夜長に並んで読書、心の栄養補給になりますよ。