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なかなか治らない?

2021年2月15日

なかなか治らない?

第17号:2020年12月号

 

0歳1歳のお子さんを、保育園に預けて働いている親御さんからよく聞く言葉です。「なかなか治りません」

 

生後半年で、母親から受け継いだ免疫はほぼ半減します。1歳前後ではほぼ0に。ここからは、自身の免疫を働かせるしかありません。生後2か月からのワクチンは、特定の病気(かかると重症になる)の免疫をつけるものであり、風邪のウイルスのように次から次へと変異して数百種類ある病原体に対しては、あまり効果を発揮しません。もちろん人には生まれ持って存在している自然免疫がありますが、乳児の免疫機能はまだまだ未熟です。

 

ウイルスの種類によっては、単純な鼻かぜではおわらず気管支炎をおこし、ときには二次的に菌が感染して肺炎を起こすこともあります。登園すればさまざまなウイルスにさらされますが、乳児は自分で手洗いやうがいもできません。ましてやマスクもつけられません。ある程度繰り返し暴露されて、自身の免疫を獲得していくしか方法がないのです。熱がないからといって、まだ完全に回復していない状態で登園させれば、新たなウイルスに感染します。気が付けば2-3週間咳と鼻汁がとまらない、ときにぜいぜいするなんてことは誰もが通る道なのです。

なかなか治らない・・・。病院の処方薬は、ウイルスを直接やっつけるお薬ではなく、あくまで症状を和らげるだけ。つらい咳に対して、からむ痰を出しやすくする程度です。一体誰が治しているのか?それは本人です。本人の免疫の機能によってウイルスを排除しているのですが、先述の通りまだまだ未熟です。そんな時は、登園させずに1週間くらい休ませるしか他に手立てはないのです。

 

仕事を休めないから・・・。こんな声も聞こえてきます。はたしてそうでしょうか?共働きであれば、お母さんが1日有給をとって自宅で過ごす、お父さんも1日有給をとって自宅で過ごす。今の時代ならテレワークだってある。土日と併せると4日間確保できます。その他病児保育を利用したり、シッターさんに自宅に来てもらったり、祖父母の力を借りたり、そうやって多くの人の手や利用できるサービスを活用しながら、感染リスクの高い0歳1歳時期を乗り切るしかないのです。

途方もない話しのようですが、これがずっと続くわけではありません。2歳半、3歳にもなれば、驚くほど感染する回数が減ってきます。そこまでの辛抱と言えるのです。お子さんを第一に考えた生活プランを組み立てることが、なにより大切です。

 

子育ての道のりはまだまだ長いものの、振り返って0歳1歳の育児をやり直すことはできません。「なかなか治らない」はお子様からの切実なサイン(幼い児に心身ともに相当の負担をかけている)と思って、思い切って休ませましょう。それができる様にさまざまな方法を考えましょう。

 

組織で働いていれば、仕事の代わりは必ずいます。でも、あなたのお子さんの親の代わりは他にはいませんから。