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三歳児神話ってほんと?

2021年2月15日

三歳児神話ってほんと?

 

第5号:2019年12月号

 

いわゆる“三歳児神話”子どもが3歳になるまでは、母親は子育てに専念すべきであり、そうしないと成長に悪影響を及ぼすという考え方です。日本では長らく定着し、「就学前の子どもがいる場合、母親は家にいるべき」と考える人の割合が68.7%と世界で第1位です。

 

私は常々この考え方に疑問を呈してきました。というのも、日々の診療や園医として保育園健診に出向いたりするたびに、この神話にはなんの信ぴょう性もないと思うことが多々あるからです。

 

0歳や1歳で登園し始めると、はじめのうちは咳・鼻・熱・下痢・他流行りものと感染症のオンパレードで、中にはまともに働けないと嘆く親御さんもいます。ところが2歳半過ぎたあたりから、熱を出すこともガクンと減り、大半のお子さんは鼻かぜ程度ですむようになります。一方、幼稚園から集団生活を始めたお子さんは、3歳4歳という年齢でこれまた感染症の洗礼に合い、どうしてこんなに熱をだすの?今までは大した病気もしなかったのにとなるわけです。

 

また、社会性はどうでしょうか。早くから親以外の大人や同世代の子どもと接する機会の多い保育園児は、診療に対しても結構協力的です。一方お母さんとべったりの在宅時は、診察する前から泣き叫び、少しでも触ろうものならパニックになる子もいます。食においても、保育園児は今食べなければ後からはでてこないことを日々学んでいるので、多少の好き嫌いがあっても、園にいる間はみんなと一緒に食事を楽しみます。もちろん自宅ではわがままになりますが・・。一方在宅時は、今嫌いなものを食べなくても、愚図れば後から必ず好きなものがでてくるということを知っています。お母さんもそれに負けてしまい、結局与えてしまう。ここから始まる偏食ループ(私はそう呼んでいます)は、後々まで結構苦労することがあります。

 

共働き世帯がこれだけ増えているにも関わらず、お子さんを乳幼児期早期から預けて働くことに、まだまだお母さん自身が罪悪感を持っていたり、専業ママのようにできないことで負い目を感じたりすることはないでしょうか。小さいうちからかわいそうだと親族に指摘されることもあるでしょう。

確かに、お子さんと過ごす時間は少なくなるかもしれません。仕事と育児の狭間で、もがき苦しむこともあるでしょう。それでも、母が働く姿を幼いころから見せることは、お子さんにとってなによりの情操教育になると私は思うのです。成長に悪影響どころか、与えられた環境の中で、子どもはけっこうたくましく育っていくものです。

 

もちろん、3歳過ぎまでお子さんと過ごす時間をしっかり持つことを、否定する気は毛頭ありません。この時期は後から取り戻せるものではありませんし、三つ子の魂百までもという言葉があるように、お子さんにとってはかけがえのない時間ですから。

 

 

時代は流れ、価値観は変わり、従来の古い概念が通用しなくなっていく、その一方で子育てにおいては揺るがない本質もあるはずです。

 

神話にとらわれず、働くママも、専業ママも、お父さんたちも自信をもって、今こそ自分らしい子育てをもっともっと楽しみましょう!!