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子供の代弁者

2021年2月15日

こどもの代弁者

第3号:2019年10月

 

キャリアウーマンのお母さんは、新聞片手にとにかく忙しそうでした。Wi-Fiにつなぎ、問診を書きながら、かばんには病児保育書類を忍ばせて・・・。

 

まだ1歳過ぎたばかりのお子さんが、朝吐いたとのことでした。診察した時にはだいぶすっきりしていましたが、お子さんの吐く原因として、胃腸炎の始まりや疲れといった比較的軽いものから、髄膜炎や腸重積、盲腸など重症な病気がかくれていることもあります。吐いた直後の診察ではわかないことも多く、半日~1日観察していく中で、症状がはっきりしてきて診断がつき、追加の治療が必要になります。ですから、吐いた直後に病児保育に預けることは非常にリスクが高く、仕事を調整して看病して欲しい旨を伝えました。

ところが、「あなたに、そんなこと言われたくない。その言い方は親として嫌な気持ちになる」とおしかりを受けてしまいました。きっと診察後にそのまま病児保育へ、そして仕事へと考えていたのでしょう。それが私のひとことで覆され、お怒りとなったのかもしれません。男性と肩を並べてバリバリ働いているのでしょう、こどもの病気で弱みをみせられない、現場に穴をあけられない、大事な商談がある等、状況やお気持ちは想像に難くありません。仕事をしながらの子育ては、それなりの強い覚悟が必要なものです。

けれどわれわれは、親御さんの味方でありサポート役であるとともに、一番は「こどもの代弁者」でありたいと思っています。とくに0歳や1歳の乳幼児は、自分で「痛い」「苦しい」を表現できません。そのつらさに寄り添い、時にそれが親御さんにとって不都合なことでも強く言う、そして言い続けなければいけない時があるのです。

長らく医療現場にいると、大丈夫と思っていたお子さんが急変したりする苦い経験が数々あります。だからこそ、常にお子さんファーストでありたいと。

 

親御さんにとって都合の悪い事、それはお子さんの「つらさの代弁」と理解していただければ幸いです。