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早めの介入を

2021年5月6日

早めの介入を

第22号:2021年5月号

 

 「ケーキ🎂の切れない非行少年たち」という児童精神科医の著作を読みました。認知の歪みにより、小学校低学年から極端に計算ができない、漢字が書けない、簡単な図形の模写ができない、運動が苦手といった本人の努力ではカバーできない苦労があっても、適切な支援を受けることができず、やがていじめの対象となり、そのストレスからいじめの加害者、ひいては非行にはしってしまうという悪循環について言及していて、大変感銘を受けました。詳細は、是非本書をご一読いただきたいのですが、われわれはお子さんたちの発達・発育を乳児期早期から継続的に診察できる立場にあり、非常に考えさせられることがあります。

乳児期後期の健診で、つかまり立ちやつたい歩きが全くできないお子さんに、以前は個人差があるから、1歳半くらいまで経過を診ましょうというのが主流でした。しかし、そこまで待って自然に歩行が出来るようになる子もいれば、ほぼ変わらないお子さんもいます。どちらにころぶかわからないのであれば、何もせずにただ半年待つよりも、積極的にリハビリ専門のスタッフによる歩行訓練等を取り入れていくことが、お子さんにとっても親御さんにとっても有意義だと私は考えています。また、1歳半健診で意味ある単語が全くでない、言葉の理解力も乏しく、視線が合いにくいなど気になる兆候があるものの、これまた2歳くらいまで様子を見ましょう、3歳で自分の名前が言えなかったら考えましょうと、結局何もしないまま半年~1年以上経ってしまい、状況が変わらないということはよくあります。

そのようなことから、当院では早期からお子さんの発達に積極的に介入する必要性を感じて、歩行リハビリをご紹介し、言葉に関しては市のおやこ相談や民間療育などに繋げています。われわれは、運動発達や精神発達の“アンバランス”という言葉を使っていますが、「遅れですか?」「障害ですか?」と自分の子どもはそうじゃないと受け入れられない親御さんもなかにはいらっしゃいます。けれど、1年後にやはりあの時先生の勧めていただいた通り、受診しておけばよかったと後悔されることもしばしば。何より一番苦労するのは、お子さん自身ですから。

早めの介入、お子さんの発育・発達を多くの目で見守る必要がありそうです。