気管支喘息について考える
2023年8月29日
気管支喘息について考えてみる
第49号:2023年8月号
気管支喘息(喘息)治療薬が長期間処方されているにも関わらず、「喘息」とはいわれていませんとおっしゃる親御さんは大変多くいらっしゃいます。また、風邪をひいて医療機関を受診した際に、ゼイゼイしていると何度か指摘されて吸入しても、その都度さまざまな医療機関を受診していたため、結果的になかなか治らず保育園を辞めてお母様も仕事を辞めたというお話を先日伺いました。今年はすでに例年にも増して、喘息の診断をして治療を開始したお子さんが多数いらっしゃいました。
日本アレルギー学会のHPに一般の皆様へというサイトがあります。そちらには、アレルギーの病気に関してわかりやすく記載されていますので、併せてご参照頂ければと思います。喘息は、ゼイゼイ、ヒューヒューという喘鳴(ぜんめい)と呼吸困難(呼吸が苦しい感じ)を繰り返す病気です。この繰り返すというのがポイントです。ウイルス(RSウイルスやヒトメタニューもウイルス等)の種類によっては、気管支炎を起こしてぜいぜいしてしまうこともあります。ところが、風邪をひく度に毎回ぜいぜいしてしまうお子さんの場合は、ご本人の体質的に気道(空気の通り道:鼻と口・喉・気管・気管支・肺)が狭くなりやすく、ウイルスだけではなく運動や冷たい空気、花火の煙等でも刺激されます。アレルギー検査や呼吸機能の検査は、診断の参考にはなりますが、いくつかのタイプがあるので、喘息とはっきり診断できる特定の検査があるわけではないというのが、とても難しいところです。特に乳幼児は、自分で苦しい症状を伝えることができないため、親御さんもお子さんの苦しさに気がつかないということも実際にはよくあります。
喘息の治療には、まさにいまの苦しい症状を楽にする治療、常に起こっている気道の炎症を改善する治療があります。症状が落ち着くと一見治ったように感じますが、この気道の炎症はずっと続いているため繰り返します。定期的に(症状が落ち着いているように見えるときでも)吸入ステロイド薬や抗アレルギー薬を内服することによって、治療することができます。小児喘息は5%(20人に一人)と決して珍しい病気ではありませんが、治療薬の開発が進み入院するようなお子さんの数は劇的に減少しました。是非、アレルギー専門医とアレルギー専門資格を持った看護師にご相談ください。