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恩師と別れてから1年を経て

2022年2月24日

恩師との別れから1年を経て

第31号:2022年2月号

 先日、小児科の恩師の奥様から寒中お見舞いの葉書をいただきました。「早いもので夫を見送って1年が経ちました。療養中は、遠方からわざわざお見舞いただき有難うございました。コロナの先行きが見えず、クリニックもいろいろと大変ですね。頑張ってください。」と達筆な文字で書かれていました。その葉書を眺めながら、もう1年も経ってしまったのかと愕然としてしまいました。

 S先生との出会いは、21年前にさかのぼります。当時研修医だった私は、将来的に小児科を志す予定はなく、内科や産婦人科の研修の傍ら小児科を3か月研修した程度でした。小児科研修の際に、元気になって帰っていく子どもたちのエネルギッシュな姿と先生のご指導がとても心地よく、「あれ?内科よりずっと研修が充実していたな。」と思いながら3か月を終えた記憶があります。

 その後、勤務していた病院の内部問題で混乱が生じ、研修がままならなくなりました。程なくして私も過労で体調を崩してしまい、しばらく休養することに。小児科に進むことを考えていなかったにも関わらず、先生はいつも療養中の私のことを気にかけてくださり、「そんなに辛いなら、子どもたちのところにくればいい。嘉代の気持ちも少しは癒されるはず。」と声をかけてくださいました。先生のその言葉に導かれて、1年だけ小児科をやってみようと決意してから気が付けば今に至ります。あの時の先生の一言により、私の小児科医人生がはじまったといっても過言ではありません。

 人生において、出会いたい人には遅くもなく早くもなく絶妙なタイミングで出会えると私は信じています。血液の癌で数年療養されたのち、1年前に他界された先生。コロナ禍で、1年経ってもまだお焼香にも伺えておらず、心苦しい限りです。今年こそは先生のお宅に伺い、感謝の気持ちを直接伝えたいと思います。

いつもクールな愛情表現だったS先生、でも心の中はいつも温かく包み込むように静かに見守ってくださいました。先生との出会いで、私の人生は大きくかわりました。どうか研修医の頃同様に、上から引き続き見守っていてくださいね。

恩師との別れから1年を経て、S先生は今もずっと私の胸の中で生き続けています。