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医療におけるSDM

2026年10月8日

医療におけるSDM

第86号:2026年9月号

 「先生にお任せします」そんな時代は終わりました。それでも「よくわからないので、先生どう思いますか?」と質問されることがありました。また、「うちの子は〇〇(病名)ではありません。」と怒って帰る方もいました。SDM(Shared Decision Making)とは、医学的根拠と患者さんの生活背景や価値観などの患者さんにとって大切なことに基づき、医療者と患者さんが協働して、治療方針を決めるプロセス(共同意思決定)です。なぜ、今SDMなのか?「最善の根拠」「医療者の経験」「患者さんの価値観」を合わせてよりよい医療を実現しようとする流れが起こっているからです。

 お薬手帳を拝見した際に、他院で喘息治療薬が処方されているので伺うと、喘息とは言われていない、いつまで続けるかも説明を受けていないということがよくあります。また、その月齢では到底出来ないようなステロイド吸入が処方されていることもあります。私が専門にしているアレルギーの病気(気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、花粉症、食物アレルギー等)は、風邪や胃腸炎のように数日や数週で改善することは難しく、年単位での治療が必要でなかには完治が非常に難しい場合もあります。診断にいたった根拠をご説明し、どのくらいの治療期間が必要かを共有し、治療ゴールを設定する必要があります。納得いかないま治療を始めても、続けることは難しいからです。

 さらに、根拠に基づく治療を後押しするのが「ガイドライン」ですが、その通りに治療すれば全ての患者さんの病気が治るというものでは残念ながらありません。個々に悪化する要因は異なり、生活環境、お子さんの場合は親御さんのケアによるところも大きいからです。それらを考慮して、お一人お一人に向き合うことが医療者には求められていますし、それを目指してスタッフ一同日々診療にあたっています。特に自身で意思決定ができない年齢のお子さんにとっては、医療者と親御さんとの信頼関係に基づく連携が必要不可欠です。

 物事の分別がつけられ自分の身体に向き合える年齢になれば、親御さんの意向ではなく「自分がどうしたいのか、よくなりたいのか、そのためにこの治療を続けるかどうか。」をご本人に直接お聞きしています。どうぞ、SDMを意識して、われわれ医療者と協働していきましょう。