挨拶できない大人たち
2026年3月27日
挨拶できない大人たち
第80号:2026年3月号
研修医の頃、精神科の女性医師のロッカーに「あいさつは人間関係の潤滑油」というメモが貼ってありました。毎朝出勤してくる度に、ご自身で見て気持ちを整えていたことでしょう。あれから20数年の時を経て、本当にそうだなと様々なシーンで思います。携帯をいじりながらずっと下を向いて、目も合わせず診察室に入ってきて、お子さんの診察中もずっと同じ状況の親御さんがいます。パソコンで仕事をしながら診察室に入って来る方も。人に相談する時、毎回このような態度をとるのでしょうか。ご自身が逆の立場なら、どんな思いになるでしょうか。「仕事が忙しくてなかなかこられないので、薬を多めに出してください」「まだ症状ありませんが、次いつ来られるかわからないので、とりあえず出しておいてください」お子さんの病状が命に関わるようなものであれば、このような発言はでてこないはずです。その程度のもの、本来医者にかからなくても治ると思っているからではないでしょうか。
月曜日Aクリニック、よくならず水曜日Bクリニック、最後金曜日に当院ということも頻繁にあります。普段から当院がかかりつけで、休診日に他のクリニックを受診したというならわかります。昨今その都度あちこち受診される方が非常に多くなりました。虫歯治療中でこのような受診の仕方はまずないと思います。ひとつの医療機関で一定治療してきたけれど改善がないので、別の医療機関で相談したいというのであればわかります。お子さんの病気は風邪や胃腸炎など、定期通院しなくても、薬を飲んでも飲まなくても1週間以内に治る病気が大半です。また受給権を提示すれば、外来負担200円、処方薬(医薬品)無料というコスパの良さ、小児科クリニックが乱立し、かかりたいときにどこへでも容易にアクセスできることもそのような受診に繋がっていると思います。
さて挨拶の話に戻りますが、われわれ医療従事者も生身の人間です。目も合わせず、質問したことにも首を傾げて答えず、ご自身の要求ばかり一方的にぶつけてくる方と大切なお子さんの心身の健康に共に向き合うパートナーになり得るでしょうか。もちろん過度なことは必要ありません。必要最低限気持ちの良い挨拶、お子さんの状況に真摯に向き合う姿勢、人に対するあたりまえの敬意をお互いに持ち続けたいものです。
まさに「挨拶は人間の関係の潤滑油」