真の優しさとは何か?
2024年4月9日
真の優しさとは何か?
第57号:2024年4月号
新年度が始まりました。そして新たな環境で生活をスタートさせた皆さんは、さぞ期待と不安が入り混じっていることでしょう。お友達や先生との新たな出会いに、ワクワクするそんな季節がやってきました。一方で、しばらくするとお友達関係の悩みもでてくるかもしれません。小学校高学年や中学生のお子さん達から、診療の際にお友達関係の悩みを相談されることがあります。
大抵は言われた言葉にショックを受けたり、仲が良かったはずなのに突然冷たくされたりというお悩みが多いのですが、みなさん幼い頃から「お友達には優しくしましょう」という抽象的なことを言われ続けてきていませんか。では、みなさんにとって優しさとはどういうことでしょうか?優しい人というのはどんな人でしょうか?
私にとっては、自分が本当に苦しい時や辛い時、悩んでいる時に心からの慰めや励ましの言葉をかけてくれる人、何も言わずに見守り応援してくれる人、共に闘ってくれる人、敢えて厳しく助言してくれる人、その時々の状況にもよりますが、後から振り返ってみて厳しさこそが心からの優しさだったりすることも多々ありました。逆に優しそうなふりをする人もいます。そこには「打算」や「自己防衛」といった損得が潜んでおり、優しそうにしておいて相手を自分にとって都合よく利用しようと企んでいる。そういう押し売り的な優しさは、すぐに見抜かれてしまいますが、世の中結構多いものです。損得勘定でしか、人と関われないという人もいます。
楽しさを共有することは簡単ですが、苦しさを共有したり共感したりすることはかなり難しいことだと思います。人生経験を積む中で人格が形成されていき、人の痛みがわかることもあれば、歳を重ねても人としての優しい心を持ち合わせていない人もいます。
時代により価値観は変わり、優しさの判断基準も人それぞれだと思います。新たな生活を迎えるこのタイミングで、改めて自分にとって真の優しさとは何か、今までの関わり合いの中で有難かったことは何かを考えてみてはいかがでしょうか。