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時薬(ときくすり)

2023年10月20日

時薬(ときぐすり)

第51号:2023年10月号

 水難事故から身を守る理想的な方法は、もちろんあらかじめ救命胴衣をつけておくことですが、つけていない状態で水に落ちた時でも着衣のままあおむけになって浮かぶ「背浮き」という方法があり、長時間浮き続けてそのまま岸にたどり着く、または流れているうちに救助される可能性が高くなります。溺れているのに無理にもがけばもがくほど深みにはまってしまいます。

 我々の日常でも、なにか大きなトラブルが起きてそのことで心が深く傷つき、自信がもてなくなってしまった時はどうでしょうか。焦ってすぐに解決しようとすればするほど、事態がかえって悪化してしまうということがよくあります。人間関係・親子関係においても同様で、もめ事が起きたときに感情的になっていいことは一つもありません。冷静になりどのように対処するかを考える時間が必要です。

時薬(ときぐすり)という言葉があります。どんなに大変な困難を抱えても、時間が薬となって解決してくれるという意味です。慌てなくても時の流れが、自然に心の傷を癒してまた自信を取り戻し、関係性を見直す機会を与えてくれるのです。後から考えてみると、あの時もがかずに背浮きのように漂流したことで、いい流れになってきた、流れに身を任せてよかったと思えるものです。

また不安や焦りで心が苦しいと感じている時は、「〇〇でなければならない」という執着が強く働いているサインです。「○○もある」「○○でもいい」「○○でだめなら、△△にしてみる」等、自身を苦しめている執着を一旦捨ててみてはいかがでしょうか。さらに相手に対して、必要以上に期待しすぎていませんか。信頼できる人に苦しい胸の内を話してみると、自身の執着に気が付くこともあります。たとえ親子であっても、一方的に価値観を押し付けていいわけはありません。今すぐにはどうにもならないことであれば、深く考えすぎず目の前のやるべきことやりたいことに集中して、日々淡々と暮らしてみる。

秋の夜長、好きなことをしながら時薬が効いてくるのをじっくりゆっくり待ちましょう。